国連
国連人権アップデート No.33 UPRは現場によい効果をもたらす/差別とエンパワーをめぐるラマ・エル・アミーンの旅/OHCHR、ECの提案にコメント
■UPRは現場によい効果をもたらす 8月5日
「普遍的定期審査(UPR)は、名指しで非難したり、恥をかかせるといったやり方から脱却したものです。これは、平等な扱いと普遍的な参加の原則に基づいています。規模、能力、または直面する課題に関わらず、すべての加盟国に発言の機会を提供しています」と、ノルウェーのジュネーブ国連常駐代表であるトルモド・C・エンデセン大使は述べました。
第59回人権理事会において、国連人権高等弁務官事務所とUPRの友だちグループ(アルゼンチン、アルメニア、フィジー、ノルウェー、パキスタン、南アフリカで構成)は、「地域における普遍的定期審査:UPR実施の影響事例」と題したサイドイベントを開催しました。
このイベントでは、特に国連人権高等弁務官事務所の地域事務所にUPRアドバイザーを配置して、UPRへの関与と勧告実施を促進することでもたらされるポジティブな影響に焦点が当てられました。また、成果の共有、期待の議論、および「UPR参加基金」と「UPR実施基金」の2つのUPR自主基金が、国の主導によるUPR勧告実施の取り組みを支援したり、国の参加の強化につながった事例が紹介されました。
国連人権高等弁務官副高等弁務官のナダ・アル=ナシフ氏は、UPRが世界の人権状況について議論する重要なメカニズムとして際立っていると述べました。
記事全文はこちら: Unpacking the impact of the Universal Periodic Review
■差別とエンパワーをめぐるラマ・エル・アミーンの旅 7月31日
2025 年6月、ベイルート空港で人種差別を受けた時、ラマ・エル・アミーンは毅然とした態度を貫きながら、不可視化され、沈黙を強いられ、哀れみの対象とされても、誇りと強固な意志を持って抵抗し続けたレバノンそして地域全体のアフリカ系女性とアフリカ系子孫の女性たちの声を代弁しました。
「私は生きている間に何かになりたい、何者かになりたい」とアミーンは言いました。「でも同時に、謙虚で、地に足がつき、誰もが受け入れることができる姿勢を保ちたい。空港で私を差別した男に対しても、『神よ、彼を赦したまえ』と言いました。憎しみを抱えて生きていきたくはありません。」
レバノンで、レバノン人の父とアフリカ系の母との間に生まれたアミーンは、家では愛されて育ちましたが、社会にでたらその愛は通用しませんでした。「私は元気いっぱいの子どもでした」、彼女は回想します。「でも学校に通い始めた途端、私は他の人ととは違うと感じました。誰とも似ていませんでした。内気で、臆病で、目立たない子になりました。自分より妹を一所懸命守ろうとしました。」
今も思いだすだけで心が痛む出来事があります。学校で先生が、私は「アラビア語が上手くない」という理由で、劇に参加させなかったことです。
記事全文はこちら:Lama El Amine’s journey through discrimination and empowerment
■OHCHR、欧州委員会の包括的提案にコメント 2025年5月
OHCHRは、EU企業持続可能性デューデリジェンス指令(CSDDD)の改正案について、複数の懸念を指摘します。特に、OHCHRは、人権デューデリジェンスにおいてティア1(第1列)を超える段階での受動的なアプローチへの移行が、人権状況の悪化、企業にとってより複雑で負担の大きいプロセス、および企業から市民社会への責任の不正な移転を招く可能性があると警告します。このような提案は、EU法が最終的に国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)の文字、論理、精神と一致するかどうかにへの懸念を増大させます。OHCHRはさらに、民事責任に関する変更提案についても懸念を表明し、これらが明確な利益をもたらさずに救済への追加的な障害を招く可能性があるとしています。OHCHRは、CSDDDの改正が国際人権基準との整合性を損なうことがないよう、関連するEU機関およびその他の利害関係者と建設的な協議を行うことを歓迎します。
全文はこちら: OHCHR Commentary on the Omnibus Proposal
翻訳・抄訳 反差別国際運動(IMADR)