2015.10.13

国連人権理事会30会期活動報告:沖縄・辺野古新基地建設問題、スリランカの強制失踪についてサイドイベントを開催

反差別国際運動(IMADR)ジュネーブ事務所は9月14日から10月2日にわたって開催された国連人権理事会30会期において、以下の活動を通して国際社会への働きかけを行いました。これらの活動は皆様からの寄付と会費によって支えられています。ぜひ寄付または会員としてのご支援をご検討ください。寄付・会員手続きはこちらから

《サイドイベントの開催》

  • スリランカにおける強制失踪 (9月18日(金)、共催:フォーラム・アジア、強制失踪に反対するアジア連盟、フランシスカン・インターナショナル、マイノリティ・ライツ・グループ)

議長:二マルカ・フェルナンド、IMADR理事長
スピーカー:
ルシアーノ・ハザン、国連強制失踪委員会委員
サンディヤ・エクネリゴダ、強制失踪したジャーナリストの妻
ヨギスワラン神父、人権活動家 他1名

内容:強制失踪被害者の家族による証言から問題の深刻性と強制失踪後に被害者家族が直面する困難が浮き彫りにされました。また、スリランカにおいて強制失踪が制度的に行われてきたこと、さらにこれまでの政府による不十分な取り組みによって被害者家族の間で政府への不信感が蔓延していることが指摘されました。ビデオを通してハザン委員が国連強制失踪委員会および強制失踪防止条約の機能の説明をし、政府がこの条約を直ちに批准することが求められました。
詳しい報告はこちら(英文)

  •  日本の沖縄における軍事化と人権侵害 (9月21日(月)、共催:島ぐるみ会議、市民外交センター、フランシスカン・インターナショナル)

議長:上村英明、市民外交センター代表
特別報告:翁長雄志、沖縄県知事
コメント:ビクトリア・タウリ・コープス、先住民族の権利に関する特別報告者
スピーカー:
上村英明、市民外交センター代表
吉川秀樹、沖縄・生物多様性市民ネットワーク
潮平芳和、琉球新報 編集局長

内容:冒頭で翁長知事が日米政府による沖縄の人びとの自己決定権の無視と、民主主義と人権が軽視されていることに強い懸念を示しました。続いて各スピーカーが琉球・沖縄の自己決定権の根拠、辺野古新基地建設および米軍基地とその活動による環境権の侵害、表現と集会結社の自由の侵害を参加者に報告しました。最後にコープス特別報告者が琉球・沖縄の人びとが自らを先住民族と認識した場合には国連先住民族権利宣言に定められた先住民族固有の権利が適用されるとコメントしました。
詳しい報告はこちら(英文)

Independent Web Journal(IWJ)が当日撮影したビデオを公開中!

・2015/09/21 翁長雄志・沖縄県知事「普天間飛行場の辺野古移設は理不尽」と訴え、「日米の民主主義はどうなっているのか」と批判 (ジュネーブ 国連人権理事会サイドイベント)ビデオはこちら

・2015/09/21「沖縄の自己決定権と人権はないがしろに」翁長雄志・沖縄県知事、国連本会議で新基地建設阻止を全世界へ訴え (ジュネーブ 国連本会議)ビデオはこちら

・2015/09/22 「沖縄の人々が自分たちの意志で、自分たちの島をつくる、未来をつくる権利が侵害されている」(翁長雄志・沖縄県知事の国連スピーチを企画した市民団体らによる記者会見)ビデオはこちら

  •  OHCHRスリランカ報告書への市民社会への返答 (9月28日(月) 、共催:フォーラム・アジア、マイノリティ・ライツ・グループ)

議長:デイビット・ウェイリー、元国連常駐調整官
スピーカー:
二マルカ・フェルナンド、IMADR理事長
スダルシャナ・グナワルダナ、ライツナウ・コレクティブ・フォー・デモクラシー代表
シュリーン・サルール、女性人権活動家
二ラン・アンケテル、人権弁護士

内容:今会期で提出されたOHCHR(国連人権高等弁務官事務所)スリランカ報告書とその勧告に対し、議長がスリランカの人権活動家であるそれぞれのスピーカーに質問をするパネルディスカッション形式で進行されました。パネリストは一様に報告書とその勧告を歓迎しつつ、未熟なメディアの独立性、性暴力の蔓延、テロリズム防止法の恣意的運用、ぜい弱な司法制度、報告書のタミル語およびシンハラ語でのアクセスの必要性、市民社会の政府への不信感といった一連の問題を指摘し、正義の実現と和解プロセスを成功させるためにはOHCHRおよび国際社会の参加が不可欠であることを強調しました。
詳しい報告はこちら(英文)

 

《口頭声明》 *声明の日付と実際に発言した日付は進行の都合により異なる場合があります。

  • スリランカにおける移行期の正義 について発言(9月15日)

内戦からの人権侵害に関する真実、正義および補償といった移行期の正義の実施プロセスにおいて、スリランカ政府が被害者や市民社会を十分に参加させていないことに懸念を表明しました。また、これまで設置してきた国内機関が失敗に終わっていることや、北東部において監視活動やテロリズム防止法の恣意的運用が続いていることで被害者や市民社会の信用を失っているスリランカ政府に対し、以下の措置を取るよう求めました。
① 人道に対する罪、戦争犯罪、ジェノサイドの罪を国内法に取り入れること
② 強制失踪防止条約を批准すること
③ テロリズム防止法を撤廃すること
④ 国際専門家を移行期の正義プロセスに参加させること
⑤ 国際刑事裁判所ローマ規程を批准すること
⑥ 今までの国内機関の報告書を公開すること
⑦ 市民社会および被害者とその家族との協議を直ちに開始すること
声明はこちら(英文)

  • ネパール新憲法におけるダリットの権利および琉球・沖縄での人権侵害 について発言(9月22日)

同月に制定されたネパールの新憲法にダリットの政治参加と権利保障を明文化するよう求めた市民社会の要求が含まれていないことにフェミニスト・ダリット協会(FEDO)と共に懸念を表明しました。ネパール地震への救援活動においてもダリットに対する差別が報告されたことからも、ダリットの政治参加の促進の必要性を強調し、そのための政策および法的措置を取るようネパール政府に求めました。

また、2014年に国連人種差別撤廃委員会が日本政府に対し、琉球・沖縄の人びとを先住民族と認め、権利保護と促進のための代表との対話の強化を促すよう勧告したにもかかわらず政府がこれを行っていないことを非難しました。その上で、直ちに辺野古新基地建設を中止し、国連先住民族権利宣言に基づいた琉球・沖縄の人びとの権利を尊重するよう求めました。
声明はこちら(英文)

  • OHCHRスリランカ調査報告書と移行期の正義 について発言(9月30日)

OHCHRスリランカ報告書およびその勧告を歓迎しつつ、国際社会が戦争犯罪をはじめとする内戦時の一連の国際人権法および人道法の侵害を認識するのに6年もかかったことを憂慮しました。法律や治安部門の改善、ハイブリッド法廷の設置、ローマ規定の批准などの勧告をスリランカ政府が実施することを求めました。
声明はこちら(英文)

  • ボコ・ハラムによる残虐行為およびジェンダーに基づく暴力について発言(9月30日)

OHCHR報告書とその勧告を歓迎しつつ、ナイジェリアおよび周辺国の市民が虐殺や拷問、誘拐、奴隷や強制徴用といった恐ろしい犯罪に今も苦しんでいることに懸念を表明しました。特に少女と女性はよりぜい弱な立場に立たされ、ボコ・ハラムによる性奴隷、性暴力、強制妊娠といった人権侵害だけでなく、政府によって救出された後も偏見に苦しんでいることを指摘しました。その上で、以下の措置を取るようナイジェリア政府および周辺国政府に求めました。
① ボコ・ハラムへの対抗における民間人の安全の保証
② 精神カウンセリングと医療ケアを含む少女と女性の保護措置を直ちに取ること
③ 被害者への十分な保護と救済
④ 女性に対する暴力に関する特別報告者をはじめとした国連特別手続きと協力すること
また、国際社会に対し、ナイジェリアおよびその周辺国が報告書の勧告を実施できるようサポートすることを求めました。
声明はこちら(英文)

 

《書面声明》 

 

HRC30_Militarization and human rights violations in Okinawa, Japan_21092015

[9月21日(月)サイドイベント『日本の沖縄における軍事化と人権侵害』の様子]

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