国連普遍的定期審査(UPR)28会期における日本審査の作業部会報告書の11月16日の採択を受け、IMADRは沖縄国際人権法研究会およびフランシスカンズ・インターナショナルとプレスリリースを発表しました。
プレス・リリース
日本はUPR勧告と向き合い、沖縄における人権侵害に終止符を打つための行動をとらなければならない
2017年11月17日
日本政府は、国連普遍的定期審査(UPR)において人権に対するコミットメントを表明し、国内の人権状況を改善するための措置を取らなければならない。沖縄国際人権法研究会(AOCHR)、反差別国際運動(IMADR)、フランシスカンズ・インターナショナルは、日本政府が沖縄における人権侵害に終止符を打ち、自由意思に基づき、事前でかつ十分な情報に基づく合意(FPIC)原則に則り、琉球・沖縄の人びとと協議することを強く求める。
日本にとって3回目となる2017年のUPRでは、前回のUPR勧告の実施の審査と懸案の人権問題が取り上げられた。日本政府は11月14日に報告書を発表し、前回の勧告に対して取られた措置を報告した。106ヵ国が発言をし、日本政府に対して質問や勧告を行なった。11月16日に採択された作業部会報告書では、日本は独立した国内人権機関の設置、ヘイトスピーチの根絶、先住民族の権利の保護および促進などについて勧告を受けた。
政府のUPRプロセスへの継続したコミットメントを歓迎する。しかし、琉球・沖縄の人びとの経済的、社会的、文化的権利の促進を勧告したペルーに対して、政府が回答を怠ったことについて強く懸念する。その他にも審査において包括的差別禁止法の不在および表現の自由についても主要な懸念として挙げられた。
琉球・沖縄の人びとの状況について国連自由権規約委員会および人種差別撤廃委員会(CERD)が同様の懸念を表明し、日本政府に対して勧告している。今回の審査において、ドイツ、オーストラリアを含む12ヵ国が包括的差別禁止法を制定するよう勧告した。琉球・沖縄の人びとも対象となるエスニック・アイデンティティーに基づく差別を含む差別禁止法の制定を日本政府に強く要請する。沖縄における表現の自由について、意見と表現の自由への権利の促進と保護に関するデビット・ケイ国連特別報告者が、沖縄での公共の抗議活動に対する過度な制限の疑いについて懸念を表明している。これらの懸念の詳細は今年6月に人権理事会に提出されたケイ特別報告者の日本公式訪問報告書に記載されている。
日本にある米軍施設の70%以上を負担する沖縄において、既存の米軍基地によって引き起こされる深刻な人権侵害に対して政府がなんら効果的な措置を講じていないことを憂慮する。最近の海兵隊の大型ヘリコプターの墜落や元海兵隊員による20歳の地元女性の強かんおよび殺人といった米軍関係の一連の事件は、住民の生存権や身体的および精神的健康への権利が深刻に侵害されていることを浮き彫りにしている。新たな米軍基地の建設によってより多くの深刻な人権侵害が引き起こされることを強く懸念する。
日本政府は、国連人権理事会の理事国になると自ら表明したことで、人権の促進と保護における最高水準を達成し維持することを宣言している。政府は市民社会と真摯に協議し、沖縄における深刻な人権侵害を防ぐための具体的措置をとり、日本の人権水準を改善しなければならない。
最後に、沖縄における人権侵害に終止符を打つために、琉球・沖縄の人びとの経済的、社会的、文化的権利の実現のための効果的措置を求めたペルーからの勧告を、日本政府が受諾するよう強く要請する。琉球・沖縄の人びととの有意義な協力を確実に行うことを求める。