IMADR通信
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外国人排斥をなくすために 政府がなすべきこと

世界では、移民や難民を標的にした排外的な言説や行動が広がっています。時に、そうした排外主義的な考えは、政府や自治体の政策に反映されていたり、政治家の選挙演説に含まれるなどして、公的空間にも広がっています。こうした状況を踏まえ、人種差別撤廃委員会と移住労働者権利委員会は合同で、『外国人排斥根絶のための一般的テーマ別ガイドライン』を世界に向けて発表しました(2025年12月)。IMADRはこのガイドライン全文を日本語に訳し(訳:李嘉永)、ウェブサイトに載せました。ここでは、そのごく一部をわかりやすく意訳して紹介します。

■教育へのアクセス
どの国に住んでいようとも、子どもには教育を受ける権利が保障されています。しかし、多くの国で、外国籍の子どもたちは、その権利にアクセスができなかったり、さまざまな理由で排除されがちです。それは子どもたちに負の影響を及ぼし、やがては社会的不平等となります。そのため、国は以下を含む適切な措置をとるよう求められます。
─ すべての移民の子どもに教育の権利を保障する政策やプログラムを整え、利用しやすい方法で提供すること
─ 入学する際に居住要件などを求めないこと
─ 奨学金を含む教育支援措置に平等なアクセスを提供すること

■雇用
外国人労働者に関する根拠の不確かな情報や悪意ある偽情報はあっという間に広まります。こうした情報は、労働者に対する搾取、性暴力、ハラスメントなどが発生しやすい状況を作ります。そのため、国は以下を含む適切な措置をとるよう求められます。
─ 労働許可やディーセント・ワークへの平等な機会を促進すること
─ 居住国の国籍をもたないことを理由に、雇用へのアクセスを否定したり、雇用のハードルを高くする法規定を廃止すること
─ 雇用主が外国籍従業員の身分証明書やパスポートを没収することを禁止し、違反した場合は適切に処罰すること
─ 労基法違反に対して、労働者が行政や司法に訴える場合に立ちはだかる言葉やジェンダーを含む障壁をとり除くこと

■健康・医療
健康への権利、医療をうける権利はどの国にいようともあらゆる人に保障されるべき権利です。医療や保健サービスの利用において、必要な居住年数の条件を設けるなどの措置は、そうした権利を奪う差別的な慣行です。そのため、国は以下を含む適切な措置をとるよう求められています。
─ 医療や保健の利用において、在留資格や在留実態に基づく差別的な規制や慣行は撤廃すること
─ 性と生殖に関する健康の権利を守り、在留資格にかかわらず、保健や医療サービスの利用を保障すること
─ 外国人排斥や差別を防止するため、保健や医療の提供に携わるすべての人を対象にしたガイドラインを作成し、継続的なトレーニングを行うこと

■社会保障
「外国人は社会保険にただ乗り」「生活保護は外国人ばかり」など、社会保障制度の運用の実態からかけ離れた偽情報が広がり、すべての人に保障されている、欠乏から免れ、ディーセントライフを送る権利に悪影響を及ぼしています。
そのため、国は次のような措置をとるよう求められます。
─ 社会保障プログラムの実施における、国籍、在留資格、居住状況を理由とする差別的な規制があれば、それらを取り除く措置をとること
─ 無拠出制(国庫負担型)の社会保障制度へのアクセスにおいて、外国籍者が不平等な取扱いを受けないようにすること

■選挙
外国人排斥や人種差別を煽る言説や行動の広がりに乗じるかのような、選挙期間中のヘイトスピーチや、外国人の人権の享有制限を目的とする政治的な公約などが増えています。
そのため、国は以下を含む適切な措置をとるよう求められます。
─ 選挙目的で外国人や難民に関する問題を道具化しないことを誓約すること
─ 選挙運動において、外国人排斥的な言説をはっきりと非難すること
─ 人種差別を引き起こすような政治的議論から距離を置くこと
─ 政治家による外国人排斥や人種主義的な表現は確実に捜査され、制裁されるようにすること

■メディア
メディアは、虚偽やステレオタイプを広めるために悪用される一方、異文化を理解したり、外国人との交流を促進するための重要な役割となることができます。
そのため、国は、メディアに対して以下のようなことを求めることができます。
─ 非正規の状態にある外国人や外国人労働者を描写するために「不法」「違法」などの用語を使用しないこと
─ 事件報道において、容疑者の国籍、民族的背景、宗教を強調しないこと
─ 外国人の人権を損なう措置を正当化するために、「公の秩序」や「安全」などの目的を過度に強調しないことを求めること

IMADR通信226号 2026/6/3発行