IMADR通信
NEWS LETTER
映画の紹介『女性の休日 〜女性たちがゆるやかに連帯した革命〜』
世利 桃枝
ニューメディア人権機構
監督:パメラ・ホーガン
制作:2024年/アイスランド・アメリカ/アイスランド語・英語
原題:The Day Iceland Stood Still/71分
公式ページ:https://kinologue.com/wdayoff/
1975年10月24日、アイスランドの全女性の90%が仕事や家事を一斉に休んだ「女性の休日」を題材にしたドキュメンタリー映画。1日だけの「女性の休日」を契機に、アイスランドは最もジェンダー平等が進んだ国(2025年世界経済フォーラム発表・ジェンダーギャップ指数16年連続1位)となり、女性大統領と女性首相が国を治めている(2025年現在)。
「女性の休日」以前のアイスランドは、当時の諸外国同様に性別役割分業意識が高く、女性たちはやりきれない悔しさを感じていた。ある母親は「本を持って3か月くらい刑務所に入りたい。そうすれば好きなだけ読める」と嘆いたという。
映画は、参加者たちが当時の集会で生き生きと発言する映像と50年後にユーモアたっぷりに回顧する映像が交互に映し出され、ところどころにカラフルなアニメーションが差し込まれる構成になっている。
50年前のSNSも何もない時代に、「ストライキ」ではなく「休日」と銘打って女性たちがゆるやかに連帯し、家族や同僚を巻き込んでとても楽しそうに社会を変えるアクションを起こしたことに驚いた。集会で参加者が、連帯の歌はアイスランド語で内容はわからなかったが、みんな笑顔で大合唱するシーンでは思わず涙が出た。
男性たちはてんてこ舞いして、家庭と職場などのさまざまな場所で女性がいないと社会がまわらないことに初めて気が付く。痛快で楽しくなり笑っているうちにエンドロールがはじまり、アイスランドの歌手ビョークの歌が流れた。
「やるの? できるの? 必ずやる!」
でも、笑っている場合ではない。50年前どころか今の日本はどうだろう。このような革命的イベントが果たして実現できるだろうかという苦い現実にぶつかり、映画が終わってアフタートークが始まるまでの数分間、もやもやを抱えて過ごした。
そこへジャーナリストの浜田敬子さんと作家のアルテイシアさんがステージに現れた。二人ともとにかく明るい。「何度見ても胸が熱くなる」「あのシーンのあのセリフがめっちゃ好き」とキャッキャと話し、「日本でもやろうよ」と力強い意気込みを投げかけてくる。
アイスランドで取材を行った浜田さんから、この画期的なイベントのきっかけがどういう流れでどうして成功したのか、その後アイスランドがどのようにジェンダーギャップを埋めていったのかについて話を聞いているうちに、私も日本でもできるかもしれないという気持ちが湧いてきた。
同時にもやもやな気持ちもまだ抱いている。日本で女性初の首相が誕生し、その演説で「働いて×5」が語られ、新語・流行語大賞を取った。ワークライフバランスやアンペイドワーク、選択的夫婦別姓、性別役割分業など、何十年たっても進歩しない課題をこのままにしておいていいはずがない。
2026年3月6日には、アルテイシアさんら有志による「日本版女性の休日」アクションが計画されている。「できることをしながら連帯しよう」というゆるやかな呼びかけが魅力的だ。この原稿が発表されるころはすでに終了しているかもしれないが、「女性の休日」という映画のヒットをきっかけに、日本でも連帯が少しずつ広がっていくことを期待したい。
IMADR通信225号 2026/2/26発行