2024.11.29

差別の交差性:「世系」+ ジェンダー CEDAW総括所見を読み解く

IMADRのパートナー団体、IDSN(国際ダリット連帯ネットワーク)が、日本審査総括所見を部落女性の視点から論じるウェブ記事をHPにアップしました。以下、日本語訳を紹介します。

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国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は、1017日の日本審査において、被差別部落の女性に対する差別と固定観念が依然として続いていることに懸念を示した。委員会は、総括所見において、部落女性が直面する複合差別の形態を具体的に特定し、政策の策定も含む政府の対応を促す勧告を行った。

委員会は、前回審査以降に日本において進展があったことを認める一方で、依然として存在するジェンダーに基づく固定観念、性暴力、不平等な参加、雇用における課題、経済的エンパワーメントの欠如を含む部落女性が直面するジェンダー差別に対して繰り返し懸念を表明した。

総括所見は、部落女性が直面する複合差別を具体的に特定し、それに対応するための勧告を行っている。複合差別は、女性たちの教育、雇用、および保健へのアクセスを制限している。

委員会は、過去の勧告を想起し、ジェンダー・ステレオタイプに対応するためのいくつかの勧告を行った。その中には、部落およびその他のマイノリティ女性に対するジェンダー・ステレオタイプに効果的に対応する政策の立案と実施も含まれている。

委員会は、日本が無意識のジェンダー・バイアスに対する認識を促し、規範に挑戦してきたことを確認した。しかし、委員会は、性別およびジェンダーに基づく暴力の根本原因である根強いジェンダー・ステレオタイプについて懸念を表明した。

女性に対する暴力に対応するためのさらに踏み込んだ措置の必要性も強調した。特に、性暴力の被害者に対する支援サービスへのアクセスにおいて、地方の女性や複合差別を受けている女性の間では困難があるという報告が伝えられた。そのため委員会は、多様な被害者に対する支援サービスやシェルターを提供したり、適切に資金援助するよう政府に勧告した。

また、女性、特に部落女性やその他のマイノリティ女性の意思決定への参画が不十分であるため、これら女性の参画を促進するための暫定的特別措置を含む具体的な措置を講じるよう勧告した。

さらに、職場における女性が直面する差別やハラスメントの理由が限定的であり、被差別部落女性が直面する差別を網羅していないという懸念が委員会から表明された。それゆえ、日本は、CEDAWの活用について裁判官に研修を行うよう勧告を受けた。

IDSNは、部落の女性に関する委員会の懸念と勧告を歓迎し、繰り返し、裁判へのアクセス、国内人権機関、女性の経済的エンパワーメント、データの収集と分析に関して、部落女性に特化した取り組みをさらに進める必要性を強調する。

審査はジュネーブのパレ・デ・ナシオンで行われた。録画は、以下のリンクからUN Web TVで視聴できる。セッション1セッション2

翻訳:IMADR

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▶︎ IDSNのウェブサイト(英語)はこちら

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