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国連人権アップデート No.36 COP30・国連専門家共同声明/12月10日は人権デー/女性抜きで恒久平和は実現しない

2025.11.16

 国際司法裁判所の勧告的意見は、国際海洋法裁判所、米州人権裁判所と同様に、すべての国が環境と気候システムを保護し、緩和、適応、生態系の保全および回復を通して、あらたな被害を出さないという厳格なデューディリジェンスの実施義務を負います。排出集中セクターのすべての当事者を、効果的に規制、モニター、管理し、意味のある国際協力を確保しなくてはなりません。またこうした義務を、平等と無差別に基づき、包摂的でジェンダーに配慮した方法で履行すべきです。すなわち、先住民族、農民、アフリカ系の人びとなど長きにわたり周縁化されてきたグループ、気候変動の影響によってすでに退去を余儀なくされたり、移住を迫られるかもしれない人びと、そして環境悪化による影響を最も受けやすい女性、女児、子どもたちの存在を認識しながら履行しなくてはいけません。企業もまた、気候変動と人権への影響に関して義務と責任を負っています。11月10日〜21日にブラジルで開催される国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)への信頼は、その緩和策と国際的な資金・技術協力において、実質的な成果を達成できるかどうかにかかっています。特に気候変動の主な原因である化石燃料および関連する補助金と、それらが健康、経済的平等、適切な生活水準、教育、文化的権利などの人権に及ぼす影響に焦点を当てる必要があります。

記事全文はこちら   COP30 must advance human rights-based climate action in accordance with International Court of Justice Advisory Opinion: UN experts (共同声明は、開発の権利、先住民族の権利、気候変動における人権の促進と保護、国内避難民の権利、ビジネスと人権を含む20の特別手続きの任務に就く47人の専門家が参加)

 フォルカー・トゥルク国連人権高等弁務官は、今年の人権デーキャンペーンの開始にあたり次のように挨拶をしました。
 2025年は人権の根幹そのものが試される年となりました。不平等の拡大、紛争の激化、気候危機の深刻化の一方で、社会や国の間で分断が進みました。しかし、私たちは決して諦めてはなりません。今直面しているさまざまな課題に取り組むために、連帯をさらに強め、私たちの基本的権利を守り続けることが極めて重要です。今年の人権デーのテーマは、『生活必需品としての人権(Our Everyday Essentials)』です。人権は社会への揺るぎない保証であることを想起するとともに、世界人権宣言とその中核をなす価値である平等、正義、自由、尊厳の妥当性をあらためて確認しましょう。今年のキャンペーンは、人権がもつ二つの側面を強調しています。すなわち、世界で最も画期的な国際誓約の一つである人権宣言のもとに確立された理念であること、そして、日々の生活に根付き、欠かせないものとしての人権であるということです。理念と日々の経験の間にあるギャップを埋めることで、人権の理解を深め、信頼を育み、共同行動を促すことを目指します。
* キャンペーンの一環として、オンラインフォームやハッシュタグ“# OurEverydayRights”を使ったSNS投稿などを通して、日々の暮らしの中で最も大切なことを共有するよう国連は呼びかけています。

記事全文はこちら  Human Rights: Our Everyday Essentials

記事全文はこちら High Commissioner Türk: We cannot achieve lasting peace without women’s participation

◼️人種差別撤廃委員会(CERD)第 116 会期が 11月17日から 12月5日まで開催されます。会期中は、モルディブ、グアテマラ、スウェーデン、ブルンジ、ニュージーランド、チュニジアの政府報告書の審査が行われ、日本、ラオス、パナマ、トンガの事前リストオブイッシュが採択されます。審査はUNTV で視聴できます。審査に関するレポートなどはこちらから閲覧できます。

翻訳・抄訳  反差別国際運動(IMADR)