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移民及びそのような者とみなされる他の者に対する外国人排斥を根絶するための一般的ガイドラインに関する合同一般的勧告38(2025, 116会期)

I. 導入

1. 人の移動は、常に社会の変化と進歩の重要な側面であった。持続可能な開発のための2030アジェンダにおいて、諸国は包摂的な成長と持続可能な開発に対する移民の積極的な貢献、並びに国際的な移住は送出、通過及び目的地となる諸国の発展に大きく関連している多次元的な現実であるという事実を認めている1。しかしながら、人の移動は多数の課題をますます経験しており、特に、1948年以来、世界人権宣言において普遍的に認められている国際的な人権の尊重及び充足に関係している。差別の禁止は、国際人権法の枠組みの試金石であるが、移民及びそのような者とみなされる他の者の取扱いによって、徐々に損なわれている2。実際に、多様性と並行して、外国人排斥が多数の社会において拡大している。

2. 外国人排斥とは、移民、並びに様々な社会的集団及びマイノリティに属する者が、偏見、ステレオタイプ、及び否定的な認知、並びに支配的な文化、遺産、及び富を脅かすものであるという信念によって、他者、部外者、又は敵であると描写され、かつみなされる現象である。このような言説は、これらの人々の排除及び周縁化を正当化するために用いられ、国民でない者という地位、及びその他の交差的な事由を理由とする差別に至る。外国人排斥は人間の尊厳、並びに平等及び無差別の原則を侵害するのである。

3. 人種差別の撤廃に関する委員会(以下、人種差別撤廃委員会という)、及びすべての移住労働者及びその家族の構成員の権利の保護に関する委員会(以下、移住労働者等権利委員会という)は、移民が社会的、経済的及び政治的問題に責任がある者として不当に標的とする言説を通じて、移民及びそのような者とみなされる他の者の権利に対する外国人排斥の影響がエスカレートしていることに懸念している。このような言説は、移民の人権を制限する法、政策及び慣行を正当化するために使用されており、危害の悪循環を永続化させている。

4. 締約国によって提出された報告の検討の結果として、及びその他の利害関係者から受理した情報にかんがみて、両委員会は特に、国際的及び地域的人権諸条約、諸基準及び諸原則に反するような、外国人排斥が法、政策、慣行及び社会意識にもたらす影響について懸念している。両委員会は、外国人排斥及びその人権に対する影響に関する合同一般的勧告/一般的意見を開発することが重要であると考える。

II. 方法論3と目的

5. 本合同一般的勧告/一般的意見は、人種差別撤廃委員会及び移住労働者等権利委員会の合同一般的勧告39(2025年)及び一般的意見8(2025年)と同時に採択された。その合同一般的勧告/一般的勧告において、両委員会は、外国人排斥、並びに移民及びそのような者とみなされる他の者の人権に対する影響を根絶するための包括的な公共政策に関する具体的なテーマ別ガイドラインを設定している。その合同一般的勧告/一般的意見、及び本一般的勧告/一般的意見は、それぞれ独立した文書であるけれども、これらは相互に補完するものとして設計されており、ともに読まれ、解釈され、かつ履行されるべきである。

6. このガイドラインは、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する条約(以下、人種差別撤廃条約という)、及びすべての移住労働者及びその家族の構成員の権利の保護に関する条約(以下、移住労働者等権利条約という)の諸規定、並びに両委員会が発展させた諸基準に基づいている。これらの合同一般的勧告/一般的意見は、各条約の締約国に等しく適用される。

7. 本合同一般的勧告/一般的意見の全般的な目的は、締約国及びすべての利害関係者に対し、外国人排斥並びにその人権に対する影響の防止及び根絶に関する、権威ある指針を提示することである。具体的な目的には、次のものが含まれる。

       (a) 外国人排斥を、移民及びそのような者とみなされる他の者の人権を促進し、尊重し、保護し、及び充足することに対する今日の主要な課題の一つと認識すること、

       (b)人権諸機関の判例法理に従って、外国人排斥が人種差別につながる態様に対処するため、人種差別撤廃条約の第1条を詳細に検討すること、

       (c) 移住の文脈において、外国人排斥の差別に対する影響に関する移住労働者等権利条約第7条の適用範囲を決定すること、

       (d) 社会の結束と権利基盤型の異文化間統合を促進すること、

       (e) ダーバン宣言及び行動計画、安全で秩序ある正規移住のためのグローバル・コンパクト、並びに難民に関するグローバル・コンパクトの履行を支援すること、

       (f) 社会内部での、及び社会間で不平等な取扱い、差別、暴力及び社会紛争を扇動するヘイトスピーチ、差別的態度及び言説と闘うための現行ガイドラインを強化すること、

       (g) 誰一人取り残さないという主要な目標に基づいて、広範な持続可能な開発目標の達成に貢献すること。

III. 範囲

8. 人種差別撤廃委員会及び移住労働者等権利委員会の本合同一般的勧告/一般的意見、及び合同一般的勧告39(2025年)/一般的意見8(2025年)の目的のために、「移民」という用語は、その出身国から、国境を越えて、他の国に短期的に又は恒久的に居住することを目的として出国するすべての人を含む。この用語は、自国を出国した理由、通過国若しくは目的地国における地位、又は家族の結合、雇用、研究、庇護若しくはその他の形態の保護、若しくは地域的協定などの居住許可を申請し又は取得する根拠に関わりなく、適用可能である。

9. 人種差別撤廃条約第1条は、国民と国民でない者との間の区別に言及しているけれども、人種差別撤廃委員会は、この条項が差別からの基本的保護を損なわない形で解釈されるべきであり、特に、他の人権文書において認められる権利及び自由を制限し、又は消滅させるものと理解されるべきではないことを明らかにしてきた。その他の決定と並んで、その一般的勧告11(1993年)及び30(2004年)において、同委員会は国籍に関わりなく、市民的、政治的、経済的、社会的及び文化的権利における無差別を確保する締約国の義務を再確認した。

10. その一般的意見において移住労働者等権利委員会、並びに他の国連機関及び特別手続、並びに地域的人権メカニズムによって発展してきた諸基準4は、国籍に基づく差別の禁止を徐々に強化してきた5。両委員会は、条約規定が最も有意義かつ実効的な適用を条約に与えるよう解釈されるべきことを要求する実効性(effet utile)の原則を適用している。

11. 両委員会は、一般的に移民が、短期的に又は恒久的に居住する国の国民ではないけれども、関係国の国籍法に規定される様々な基準に基づいて、国籍を取得する場合があること、その結果、二重国籍又は複数国籍を有する場合があることを認めている。さらに、移民は、その出身国を離れる前に、又は通過国若しくは目的地国にいる間に無国籍であるか、又は無国籍になる場合がある。

12. 「そのような者とみなされる他の者」という用語は、人種差別、又は外国人排斥の文脈における交差的な形態の差別の影響を受けるすべての者を含んでおり、例えば、部外者若しくは外国人、又は単に「他者」としてみなされ、取り扱われ、又は認知され、その結果、その市民的、政治的、経済的、社会的及び文化的権利の享有における場合を含む、不平等かつ差別的な取扱いを受ける個人又は集団などである。構造的人種主義は、自らの共同体のもとに生まれ、かつ当該共同体に属している共同体の構成員を他者化することを永続化する社会的及び政治的プロセスの根本原因を補強している。

IV. 外国人排斥、人種化及び人種差別

13. 「外国人排斥」(Xenophobia)という用語は、共同体、社会又は民族的アイデンティティとの関連で、部外者であるか若しくは外国人であるという事実、又はみなしに基づいて、ある人を拒絶し、非人間化し、排除し、そしてしばしば中傷する態度、偏見及び行動を描写するために用いられてきた6。外国人排斥は、特に、他者とは外国人であるか、又は共同体国家の外部出身であるという想定に基づいた行動を指す7。現代的形態の人種主義、人種差別、外国人排斥又は関連する不寛容に関する特別報告者によれば、ある個人若しくは個人の集団が、実際の若しくはみなされた地理的出身を理由に、他の住人と同一の権利を享有していない場合、又はそれらの人々と関連する価値、信条、及び/又は慣行が、それらの人々を外国人であるかのように見せかける場合に、外国人排斥は存在する8。同一の身体的特徴を有する人々、さらに、同一の世系を有する人々に対しても、このような人々がある国家又は地域を通過し若しくは帰還し、又は当該国家又は地域に移住し、かつ部外者とみなされる際に、外国人排斥が表明されることがある。

14. 外国人排斥とは、移民及びそのような者とみなされる他の者に対する人種差別の体系的な助長要因であるとともに、これらの者に対する構造的形態の人種主義及び差別の結果でもある。外国人排斥は、公務員若しくは公的機関、又は私人によるいずれかの作為又は不作為であって、公的又は私的サービスへの移民のアクセスを剝奪し、妨げ、又は妨害するものを含むことがあり、これらは危害及び苦痛を引き起こし、並びに、特に平等についての権利を含む、人権に悪影響を及ぼす。外国人排斥の現れ方には、直接差別及び間接差別の行為、差別、敵意又は暴力の扇動、ヘイトクライム及び憎悪の扇動であって、(実際の、又はみなされた)外国出身若しくは国籍に基づくもの、これには、人種、皮膚の色、宗教、ジェンダー、年齢、言語、性的指向、性自認、社会経済的な地位又は障害などの他の事由との組み合わせによるものを含む。動揺に、外国人排斥は、国籍、移民の地位及び他の交差的な事由に基づく、人権へのアクセスを制限する差別的な政策及び慣行につながる。

15. ダーバン宣言及び行動計画において、外国人排斥は現代的人種主義の主要な要因の一つを構成すること、並びに移民に対する人権侵害は、差別的、外国人排斥的、及び人種主義的慣行の文脈で広範に発生することが認識されている9。行動に現れた時に、外国人排斥は、暴力を含む、直接的被害者に対する具体的な結果を伴う。加えて、外国人排斥的な論評と言説を正当化することは、ある集団について否定的な表象を押し付けることにより、象徴的な暴力を生み出しうる。さらに広範に、外国人排斥は、集団の平和的共存に悪影響を及ぼし、民主的諸価値と社会の結束を損なう恐れがある。

16. 両委員会は、いくつかの要因により、外国人排斥と人種主義との間には、内在的な交差が存在することに留意する。外国人排斥は、その根本原因と、人権上の影響を含め、人種化のプロセスと、構造的なパターンの人種主義と階層化を伴う。この現実はまた、諸地域及び諸国間の体系的な非対称性を含む、植民地主義と奴隷制の遺産とも結びついている。人種主義は、人の移動における今日の傾向を形成するにあたって、二重の役割を担ってきた。第一に、人種主義及び植民地主義の鮮明な遺産は、移住を助長する不平等の根本原因の一つである。そして第二に、人種主義はまた、人の移動に対する多数の政府による対応の核心である。

17. 本合同一般的勧告/一般的意見の目的のために、「人種化」という用語は、特定の集団に否定的なアイデンティティを張り付ける社会的プロセスを指し、人種的な支配及び迫害を受けるに値する者として、それらの集団に対する取扱いを正当化する。人種化は、特定の移民を、その人種的アイデンティティに基づいて標的とする、特に厳しい移民政策につながる可能性があり、かつそのような政策を合理化することに資する可能性がある。入国管理政策は、人種化された集団を抑圧する手段として利用される場合がある。人種化はまた、自国民を移民として取り扱う結果を招くこともある。移民に反対する言説、及びその後の政策及び慣行は、人種及びその他の差別事由、例えば皮膚の色、種族的出身又は国籍に応じて、相当異なりうる。通過国及び目的地国における移民の取扱いは、通常、複層的なパターンの、人種を理由とする差別に結びついている。国境での複層的な形態の暴力、移民を犯罪化する言説、社会的サービスへのアクセスに関する移民に対する事実上の又は法上の制限、及び安全かつ正規の移住経路に関する不平等な機会は、一般に人種差別と交差している。

18. 人種主義に対処するアプローチが、移民政策内に主流化されるべきであり、次のような分野が含まれる。すなわち、国境運営、国境管理テクノロジーの活用、合法的な身分証明手続、査証並びに居住及び労働許可の規制、並びに、非正規移民に対抗し、かつあらゆる人権の享有における無差別を確保する努力などである。反人種主義及び関連分野に取り組む国及び地方の公的機構は、移民政策を実施することを目的とした交差的な枠組みにおいて、主要な役割を果たすべきである。同様に、人種化された集団を代表するものを含む市民社会、及び人種主義について専門性を有するその他の利害関係者の効果的かつ有意義な参加を確保するための措置をとるべきである。

19. 両委員会は、外国人排斥、その根本原因及び人権に対する否定的な影響を根絶するための包括的な政策が、脱植民地的、反人種主義的、及び交差的な視点から検討されるべきであるという見解である。出身国、通過国及び目的地国は、人種主義、外国人排斥及び人種差別に対処する効果的な措置を、移住の構造的要因に対処するための政策の中に主流化させるべきである。外国人排斥に対処する政策は、外国人排斥の表明及びその人権に対する影響が、いかにして人種差別と交差するかを考慮に入れなければならない。

V. 外国人排斥に対する交差的アプローチ及び人権に対する外国人排斥の影響

20. 交差性は、移民に対する人種差別及び外国人排斥の撤廃に関する締約国の人権についての義務の範囲を理解するために必要な基本概念である10。交差的なアプローチをとることとは、諸個人が差別及び周縁化を経験する仕方が、人種、エスニシティ、国籍、宗教、ジェンダー、性的指向、性自認、障害、年齢、並びに社会経済的及び移民の地位などの、複数かつ重複する諸要因に基づく権力関係によって形成されると認識することを意味する。

21. 両委員会は、外国人排斥、特に人権に対するその影響を効果的に根絶するためには、交差的なアプローチが決定的に重要であり、かつ不可欠であることを強調する。外国人排斥に対処することを目的とするあらゆる政策及び措置は、移民及びそのような者とみなされる他の者に対する、国籍、移民の地位、移民という背景、ジェンダー、年齢、人種、エスニシティ、障害、性的指向、性自認、宗教、皮膚の色、社会経済的状況、言語及びその他の禁止事由に基づく差別をもたらす、同時並行的に存在する言説、政策及び慣行に対処するという視点を確保しなければならない。

A. ジェンダー

22. 両委員会は、移民及びそのような者とみなされる他の者の多様な集団の人権に対する外国人排斥の影響を理解し、かつジェンダーに配慮した方法で当該影響に対処するために、ジェンダーの視点を確保する必要があることを強調する。移民の背景を有する女性、女児及びジェンダー的に多様な人々は、外国人排斥及びジェンダーに基づく差別の交差の結果、しばしば複層的な課題、例えば職場での差別、制限された医療へのアクセス、予防可能な妊産婦死亡率及び罹患率の不均衡な割合、教育上の障壁、ジェンダーに基づく暴力のリスクの増加、並びに法的及び社会的サービスへのアクセスを得ることに対する困難といった、複合的な課題にしばしば直面している。女性、女児及びジェンダー的に多様な人々は、特に外国人排斥及びジェンダーに基づく差別の交差によって悪影響を受けており、共に移動する人々を含む、家族及び共同体の内部及び外部の双方に存在する、家父長制の力学を常にうまく切り抜けなければならない。

23. 男性及び男児は、特定の慣行、例えば人種的プロファイリング及び人種的ステレオタイプ化によって、不均衡に悪影響を受ける場合がある。外国人排斥及びジェンダーに基づく差別に反対する包括的ジェンダーに配慮したアプローチを確保することはまた、これらの集団の具体的なニーズ及び経験に対処することを伴う。

24. 外国人排斥的な移民政策及び移民に関する言説は、女性、女児及びジェンダー的に多様な人々に対する直接差別及び間接差別を助長し、一見するとジェンダー的に及び人種的に中立的であるが、それらの集団に不均衡な危害を引き起こす効果を有する法及び政策を実施することにつながりかねない。国籍及び移民の地位といった事由に基づく差別は、ジェンダーに特有の方法で表明されるという傾向がある11。同様に、移民である女性、男性、及びジェンダー的に多様な人々に対する外国人排斥的な慣行は、その他の差別事由の中でも、これらの人々のエスニシティ、婚姻に関する地位、親という地位、及び階層と交差するのである12

25. 締約国は、移民法制のあらゆる要素がジェンダーに配慮したものとなるよう確保する十分な措置をとるべきである13。このような措置は、とりわけ、査証の規制及びその他の正規の移住の経路、国境管理、民間の職業紹介事業者によるものを含む移住労働者の雇用政策、居住許可を取得するための事由、及び経済的、社会的及び文化的権利へのアクセスを含むべきである。これらの措置は、性的指向、性自認及びジェンダー表現、並びに性的特徴によるものを含む、ジェンダーに基づく権利の享有に悪影響を及ぼすいかなる差別的慣行をも防止し、かつ除去することを目的とすべきである。締約国は、女性に対して自らの国籍を自らの子に継承することを制限するか又は妨げ、無国籍を生じかねない差別的な国籍法を再検討し、かつ改正すべきである。

26. 両委員会は、様々な措置が、あらゆる部門における、及びあらゆる技能水準における、ジェンダー、エスニシティ及び人種に基づいて差別的な移民の雇用及び労働条件に対処し、かつそれらを改革することに向けられるべきであることを強調する14。それらの措置は、次のものを含むべきである。

       (a) 妊娠及び出産の禁止などの、移住労働者に対するジェンダー差別的なあらゆる諸規定を廃止すること、

       (b) 妊娠及び子どもを持ったことを理由に、いかなる態様による罰則をも受けず、又は送還されないことを確保すること、

       (c) 特に職業紹介事業者との合意において、特定の要因が労働搾取及びその他の人権侵害、とりわけ移民たる家内労働者に対するものを発生させる態様について考慮に入れること、

       (d) 査証及び入国基準の規制においていかなるジェンダー及び人種的偏見を防止することによる、ジェンダーに配慮した労働目的の移住に関する二国間協定を採択すること、

       (e) 手数料を課さない雇い入れ手続きを適用することを含む、公正な雇入れを保証すること、

       (f) 人種、国籍、ジェンダー及びエスニシティに基づく差別を防止するよう、民間職業紹介産業を規制すること、

       (g) 社会保障に関する二国間協定におけるものを含む、社会的保護に関する平等な取扱い及び無差別的なアクセスを確保すること、

       (h) 移住労働者の被扶養者について査証料、又は満たすべき追加の要件を課すことなど、ジェンダー差別的な規制を撤廃すること、

       (i) ある国における扶養家族構成員の居住する権利及び労働する権利を、配偶者の雇用上又は査証上の地位と切り離すこと、

       (j) 家族についての移民の権利を保護するために、家族移住計画を促進し、並びに家族の再統合のための非正規及び危険な経路をさらに防止すること、

       (k) 社会的なスティグマ化を経験する可能性の高い、帰国した女性移住労働者について、ジェンダーに配慮した再統合の支援及びサービスを確保すること。

27. 特に非正規の状態にある移民を対象とする、移住に対する狭量な対応、つまり、包括的で、権利基盤型の、かつエビデンスに基づくものではなく、安全に関する視点を通じた対応は、安全かつ正規の経路が存在しないことと並んで、ジェンダー化された否定的な結果を助長する。このような対応は、性的加害及び搾取を含む、ジェンダーに基づく暴力及びハラスメント、並びに通過国及び目的地国において女性、女児及びジェンダー的に多様な人々、並びに男性及び男児が直面する人身売買のリスクの増加につながる。外国人排斥、人種主義、家父長制、同性愛者排斥、トランス排斥、両性愛者排斥及びインターセックス排斥は、このような危険を悪化させるのみならず、保護、司法へのアクセス及び社会的包摂を妨げる。両委員会は、移民、特に女性及び女児の人身売買、暴力及び搾取に関する脆弱性の増加を助長する、非正規移住に関する有害な言説及び政策に対処するための具体的な措置がとられるべきであることを強調する。具体的措置は、かかる犯罪に関与する国家の治安部隊の説明責任を確保すべきである。

28. 締約国は、法上又は実行上、女性を差別する規定を除去するよう、反人身売買法を再検討すべきである。特に、締約国は、家内労働者を含む女性が、雇用のtが目に移住することができることを確保するために、ジェンダーバイアス、年齢制限及び親という地位に基づく差別を撤廃するべきである。

29. 締約国は、庇護を求め及び享有する権利、並びにその他の形態の人権の保護を充足するために、国境におけるものを含む、政策、手続き及び決定を改革し、かつ強化するために、ジェンダーに配慮したアプローチにより、十分な措置を取るべきである。かかる保護はまた、ジェンダーに基づく暴力及び人身売買のサバイバーに対する基礎的サービス、例えば安全な住居、トラウマ・インフォームド・ケア(訳注:トラウマを十分理解し、その影響を考慮した医療)、専門的な法的支援、リプロダクティブ・ヘルス・サービス及び安全ではない環境での拘禁からの保護などの提供を含めるべきである15。加えて、ジェンダー的に多様な人々が、その性的自認を尊重し、ジェンダーを肯定する医療へのアクセスを提供し、及び庇護手続の全体を通じて、差別又は暴力からこれらの人々を保護する政策を通じて、支援を受けることを確保することが不可欠である。

30. 締約国は、すべての移民、特に女性、並びに多様な性的指向並びに性自認及びジェンダー表現の人々をエンパワーし、かつ積極的に関与することを目的とした措置をとるべきである。締約国は、外国人排斥及びその人権に対する悪影響の防止及び根絶のための包括的な政策を立案し、かつ履行する過程において、鍵となる役割を果たすべきである。この過程は、包摂的かつ参加型なものでなければならず、女性の声及びリーダシップをエンパワーし、かつ拡大するものでなければならない。

31. 移民及びそのような者とみなされる他の者に対する外国人排斥は特に性的指向、性自認及びジェンダー表現、並びに性的特徴に基づく差別と交差する。外国人排斥的な政策及び言説は、性的及びジェンダー多様性に対する敵対的な態度と結合して、暴力、差別及び社会的排除のリスクの増大を含む、LGBTIQ+の人々の脆弱性の強化を助長する。

32. 性的指向及び政治人に関する国際人権法の適用に関するジョグジャカルタ宣言に従って、締約国は、非正規な状態にある移民を含む、移民による人権の享有に対する、性的指向及び政治人に基づくあらゆる障壁を除去しなければならない。加えて、特に移民の性的指向及び性自認に基づく迫害の恐怖がある場合において、移民について庇護及び補完的な形態の保護へのアクセスを確保するための措置がとられるべきである。移民による雇用及び労働上の包摂へのアクセスを促進するための、平等な機会を保障する措置がとられるべきである。

33. 両委員会は、締約国に対し、女性移住労働者に関する一般的勧告26(2008年)及び女性の難民の地位、庇護、国籍及び無国籍に関するジェンダーに関連する側面に関する一般的勧告32(2014年)における、女性差別の撤廃に関する委員会(以下、女性差別撤廃委員会という)の勧告を効果的に履行するための、適切なあらゆる措置を取る必要性を想起する。

B. 子ども

34. 外国人排斥及び人種主義の影響を直接に又は間接に受ける移住及び関連分野の政策は、子どもの人権に具体的な影響を有しており、横断的な形で、子どもの権利に関する条約(以下、子どもの権利条約という)の締約国によってすべての子どもたちのために認められたあらゆる人権に悪影響を及ぼす16。関連する分野には、査証及び居住許可に関する規制、通過国及び目的地国における非正規移住に対処する措置、移住関連の拘禁政策、家族再統合の要件、経済的、社会的及び文化的権利の享有に対する制限、並びに成人していることを国籍又は永住の資格要件としていることなどが含まれる。

35. 子どもの権利条約の4つの中核的諸原則は、子どもの生命、生存及び発達についての権利、意見を聞かれかつ参加する権利、あらゆる形態の差別から保護される権利、並びに子どもの最善の利益の原則である。両委員会は、外国人排斥、人種主義及びその他の交差的な形態の差別に影響を受ける移民政策のゆえに、これらの4つの原則が恒久的に極めて重要であると強調する。したがって、これらの原則、及び子供の基本的権利、これには出生後の登録、氏名及び国籍を有すること、教育、家族生活、身体的な自由及び保全、ノン・ルフールマン、並びに危害からの自由についての諸権利が含まれるが、これらの権利は、狭隘かつ偏見に基づく移住及び関連分野に関する政策に基づいて、恣意的に侵害されない。

36. 締約国は、子どもの権利を移民政策及び外国人排斥を根絶することを目的とする政策に主流化するために必要なあらゆる措置をとるべきである。外国人排斥に対処する措置が、子どもの保護、発達及び福祉に関する政策に組み込まれなければならない。保護者のいない子ども及び養育者から分離された子ども、並びに移民の親、又は移民の背景を有する家族のもとに出生した子どもを含む、移民である子どもに悪影響を及ぼす外国人排斥的な言説に対処するために、具体的な計画が整備されるべきである。反人種主義的であり、かつジェンダーに配慮した交差的アプローチが、かかる措置において決定的に重要である。

37. 締約国は、外国人排斥及びその人権に対する悪影響の根絶のための包括的政策の実施において、継続的かつ有意義な参加を確保する十分な措置を取るべきである。保護者のいない子ども及び養育者から分離された子ども、並びに移民の親の元に出生した子どもを含む移民である子どもの声は、権限あるすべての当局によって、適切に聞き取られるべきである。子どもたちの権利が影響を受けた時はいつでも、聞き取りを受け、子どもたちの見解が、国及び地方レベルの政府のあらゆる職階及び部門において考慮に入れられるべきである。関連する分野には、家族及び子どもの保護及び福祉、教育、移住、庇護、少年司法、法執行及び社会的保護が含まれる。締約国は、保護者のいない子ども及び養育者から分離された子どもを含む、移民である子どもを犯罪者とみなし、かつステレオタイプ化する言説を創出し、又は拡散することを現ン位差し控えるべきである。締約国はまた、移民である子どもたちをスケープゴート化し、またはスティグマを与える社会的、政治的又はコミュニケーション上の言説を拒絶すべきである。

38. 締約国はまた、次のような措置をとるべきである。

       (a) 移民の子どものニーズを満たすための子どもの福祉及び若年者政策において、専門的な支援サービスを開発すること、

       (b) 子ども向けのデジタル・プラットフォーム上及びそのアプリケーションにおいて、外国人排斥を防止し、かつ社会的結束を促進するイニシアティブを育成すること、

       (c) 文化間メディエーションに関する教育及び職業訓練を強化すること、

       (d) 子どもの保護システムの施設、学校、並びにコミュニティレベル、特に文化的な多様性が高い都市及び近隣社会において、文化間メディエイターを任命すること、

       (e) 言語サービスを含む、移民である子ども及び家族のために、より一層包摂的かつ支援的な環境を促進すること、       

       (f) 移住関連の子ども及びその家族の拘禁を法により禁止し、かつ実行上根絶すること、

       (g) 移住の文脈における子どもの最善の利益の評価において、文化的な感受性を確保すること、

       (h) 子どもの保護に関する機関の人員構成に、社会の文化的多様性を反映させること、

       (i) 多様な文化の調和及び理解を促進する異文化活動を実施すること。

39. 両委員会は、移住労働者等権利委員会及び子どもの権利委員会が、その合同一般的意見17において開発した、移住の文脈における子どもに関する政策及び実行を指導することを目的とする、すべての権威ある国際基準を遵守して、移住及び関連する分野に関する政策に、子どもの権利を完全に主流化するための適切な措置をとるよう想起する。

C. 若年者

40. 人の移動のプロセスにより、その人口がますます多様化している国においては、外国人排斥を防止し、かつ根絶するにあたり、若年者政策は極めて重要な役割を果たしうる。移住に関するエビデンスが一貫して示しているように、目的地国へのニューカマーのうち、かなりの割合が、教育施設、コミュニティ・スペース及び職場において交流する若年者であるが、これらの区域はすべて、外国人排斥的な言説及び政策が深刻な影響を及ぼす可能性がある。若年者向けの措置は、短期的に及び長期的に、外国人排斥に対処するにあたって、変化をもたらしうる。

41. 両委員会は、締約国が、国及び地方レベルにおいて、相互理解を構築すること、及び社会的結束を支持することを目的とするプログラムを若年者政策に主流化するよう勧告する。異文化間対話及び移民の若年者の参加が、若年者向けの政策を策定し、履行し及び評価するための横断的な戦略として促進されるべきである。若年の移民、及び移民の背景を持つ家族出身の若年者は、他の若年者と並んで、外国人排斥、人種主義及び交差的形態の差別に対処するイニシアティブに関与できるようにすべきである。若年者の雇用及び職業訓練を促進し、かつ高等教育へのアクセスを容易にするプログラムにおいて、外国人排斥及び人種主義を防止するために、具体的な措置がとられるべきである。

D. 高齢者

42. 外国人排斥と、移民の権利に影響をもたらす政策との相互関係は、高齢の移民について、特定の結果をもたらす。移民を社会の負担であると誤って描写する言説、又は特定の社会的権利へのアクセスとの関係で、自国民の優先を主張する発言は、高齢者を対象とするプログラム及びサービス、特に脆弱な状況で生活する高齢者を対象とするものへの、移民のアクセスに制限を課すことにつながる。国籍、移民の地位、並びに居住の形態及び期間が、退職後の正規及び非正規労働者向けの社会保障制度におけるものを含む、高齢の移民に対する差別的な規制を規定する際に援用されてきた。

43. 締約国は、社会的保護、社会保障及び高齢者を対象とする関連政策及びプログラム、特に脆弱な状況にある高齢者向けのものにある、いかなる差別的規定をも除去するために必要なあらゆる措置をとるべきである。加えて、すべての人の公平な社会的保護を確保するために、社会保障についての権利のポータビリティが、国家間の特定の協定を通じて確保されるべきである。これらの政策において、自国民に特権を与えるよう助長する言説は、権限ある当局によって明確に阻止されるべきである。

E. 障害のある人

44. 移民に対して平等な権利に値しないとする外国人排斥的及び人種主義的言説と、障害のある人に対して生産的ではなく社会の負担であるとする能力主義的な言説との組み合わせは、恣意的な人権の制限をもたらす。差別的な取扱いには、障害を理由とする移住労働者に関する査証の取得、家族の再統合、及び他のあらゆる安全かつ正規の移住経路に対する制限、並びに国籍、移民の地位、又は居住の形態若しくは期間を理由とする、障害のある人を対象とする社会保護制度及び他のプログラムへのアクセスに対する制限が含まれる。

45. 締約国は、査証又は居住許可の拒否又は制限の理由として、障害を含めることを差し控えるべきである。障害のある移民に対する間接差別につながる健康要件もまた、避けるべきである。締約国は、すべての障害のある移民について、平等なアクセスを確保するために、必要な場合には立法及び行政上の改革を含む、十分な措置を採択すべきである。移住及び庇護申請手続、並びに行政データ収集の文脈において、障害のある移民の認定方法は、時期的に適切な形でこれらの人々の要請に対応し、自らの権利の行使をよりよく保護しかつ容易にし、並びに利用可能なサービスへのアクセスを容易にするための鍵である。社会保障、医療サービス、雇用および労働条件に関するものを含む、障害に特化した政策及びプログラムが、国籍、移民の地位又は居住上の地位に基づくいかなる差別も伴わないことを確保するための措置がとられなければならない。

46. 両委員会は、外国人排斥に対処するイニシアティブを含む、障害のある人の権利に影響を及ぼすことのある政策及び計画の策定及び履行において、その代表者組織を通じて、障害のある移民と緊密に協議し、並びに有意義にかつ活発に関与するために、適切な措置が設計されるべきことを強調する。

47. 両委員会は、障害の地位によって細分化されたデータを収集するための、「生活機能に関するワシントングループの短い一連の質問(Washington Group short set of questions on functioning)」18、及び外国人排斥を根絶するために国家によって取られた措置を監視するための、国際連合人権高等弁務官事務所によって開発された障害者の権利に関する条約に関する人権指標19の適用を勧告する。これらのツールはまた、取られた措置及びその成果について、国内フォローアップ・メカニズム及び国際人権諸機関に報告するためにも使用されるべきである。

F. アフリカ系の人々、アジア系の人々、及びその他の人種化された集団

48. 外国人排斥及び体系的人種主義の構造的な相互依存関係は、アフリカ系の移民、アジア系の移民及びそれらの家族の権利に対する深刻かつ交差的な結果をもたらし、、特に社会経済的地位、宗教、ジェンダー、性的指向及びその他の事由に基づく周縁化にも直面している人々に影響を及ぼす。査証及び居住許可へのアクセス、法執行官、司法公務員及びサービス提供者による人種的プロファイリングと恣意的な取扱い、並びに教育、労働、医療及び住居に関する政策における障壁及び不平等な機会は、これらの人々が経験する制度化された差別の少数の例に過ぎない。

49. アフリカ系の女性移民はしばしば、セクシュアル化されたステレオタイプ、ジェンダー化されかつ人種化された労働上の不平等、及びジェンダーに基づく暴力の高い危険のもとに置かれている。アフリカ系のLGBTIQ+の移民にとって、これらの交差的な不平等は、複層化された脆弱性と標的化された虐待をもたらす。このようなパターンの差別は、単なる偏見の表明ではなく、人種、ジェンダー、宗教、経済的地位及び性的指向に根差した、社会に深く埋め込まれた構造的不平等を反映するものである。加えて、国境におけるデジタル技術の差別的な使用は、正規の状況にある者であっても、人種的に周縁化されている移民女性に対して、特に有害である。

50. 締約国は、外国人排斥の根絶のための政策において、アフリカ系の移民及びその家族のすべての権利を尊重し、及び充足するために、あらゆる適切な措置をとるべきである20。アフリカ系の人々に対する人種主義を根絶することに向けた政策において、移民を含めるための措置がとられるべきである。締約国はまた、第二次アフリカ系の人々のための国際10年(2025年-2034年)の実施のための活動の一部として、アフリカ系の移民の権利を促進し、及び充足するために採択された措置に関して報告するよう求められる。

51. 両委員会は、締約国が外国人排斥の根絶のための政策の策定、履行、及び定期的な評価において、アフリカ系の移民の参加を確保するために必要なあらゆる措置をとることを勧告する。そのような政策に基づくデータ収集メカニズムにおいて、アフリカ系の移民及びその家族を含めるために、具体的な措置がとられるべきである。移民に対する外国人排斥的及び人種主義的言説に対処し、並びに移民に関して権利及びエビデンスを基盤とするコミュニケーション政策を促進するイニシアティブは、アフリカ系の移民及びその家族の権利及び生活条件に悪影響を及ぼす、外国人排斥及び人種主義の構造的な連関を考慮するべきである。

52. 両委員会は、移民及びそのような者とみなされるその他の者の権利に影響を有する外国人排斥的な態度、偏見及び政策の主要な被害者に、その他の人種化された集団が含まれることを強調する。例えば、アジア系の人及びロマ共同体の構成員21は、これらの人々が実際に移民であるか否かにかかわりなく、移民及び関連する課題に関する差別的な政策を通じて、世系又は種族的出身に基づく差別によって、直接的に又は間接的に悪影響を受けている。同様に、反ジプシー主義及び他の人種化された集団に対する言説は、狭量で、ステレオタイプ化され、かつ安全に基づく移民政策に拍車をかけ、この政策が、そのような差別的な感情及び態度を助長しているのである。

53. 両委員会は、本一般的勧告/一般的意見においける特定の社会集団への言及が、その他の人種化された集団が、交差的形態の差別を通じた外国人排斥の被害を受けないということを示唆するものでは決してないことを強調する。

G. 先住民族共同体

54. 構造的人種主義は、世界中の先住民族の生活及び人権に影響を有している。その結果の一つが、国内的及び国際的な、先住民族の強制移住22であり、このことは、先住民族の権利に関する国際連合宣言第10条に反している。先住民族共同体構成員による移住の根本原因には、体系的差別、基礎的な機会の欠如、採掘業によるものを含む、それらの土地及び祖先の領域を享有する権利の侵害、構造的及び制度化された暴力、並びに気候変動の特定の影響が含まれる。

55. 外国人排斥と人種主義の組み合わせは、先住民族である移民及びその家族に対する対応に、否定的に影響する。差別的な査証及び庇護政策、並びに言語通訳の欠如は、それらの人々の安全かつ正規の移住を妨げる。通過国及び目的地国における、サービス提供者及び請負業者を含む法執行その他の当局による恣意的かつ人種主義的な取扱い、並びに受入れ社会における完全な社会的包摂の平等な機会の欠如は、これらの人々の権利に対する外国人排斥及び人種主義の悪影響を例証している。

56. 両委員会は、特に非正規の状況にある、先住民族である移住労働者の労働条件に対する外国人排斥及び人種差別の影響について、とりわけ懸念している。両委員会は、先住民族共同体出身の有期的な移住労働者、とりわけ国境地域、又はその近隣に居住する共同体出身の者の状況が、しばしば、1989年の先住民族及び部族民に関する国際労働機関条約(第169号)などの国際基準に基づく土地についての権利の、出身国及び目的地国による不十分な承認によって規定されている。無差別的な労働政策及び保護の枠組みの欠如は、構造的な不平等を強化する。人種差別と外国人排斥との交差、及び先住民族の地位を認めないことは、有害労働、賃金の窃取及び現代的形態の奴隷制への曝露を含む労働搾取の危険性を悪化させる。先住民族である移民女性及び女児は特に、性的搾取及びジェンダーに基づく暴力を含む、交差的形態の差別の危険にさらされている。

57. 締約国は、移民の地位の如何にかかわらず、先住民族である移住労働者の労働条件の規制及び監督を改善するために十分な措置をとり、並びに社会的保護、救済、及び苦情申立メカニズムへの平等なアクセスを確保するべきである。締約国はまた、文化的に適切な再統合、司法へのアクセス、及び強制移住の場合の事後救済を宣することを目的とする措置を含む、先住民族の土地についての権利を尊重するために、適切な改革を行うべきであり、その際、土地の原状回復及び共同体の再建に特別の注意を払うべきである。

58. 両委員会は、締約国が、完全かつ横断的な形態で、先住民族の権利を外国人排斥の根絶のための政策に編入することを勧告する。異文化間サービス及びプログラムは、かかる政策の極めて重要な構成要素である。政策及び措置は、多文化的アプローチに根差し、かつ先住民族との緊密な協議のもとで策定されるべきであり、自由意思による、事前の、かつ情報を与えられた上での同意(free, prior and informed consent)の原則を尊重しなければならない。先住民族が主導する組織及び代表機構を含む、先住民族である移民の、かかる措置の設計、履行、及び定期的な評価における活発な参加が確保されなければならない。締約国は、尊厳、権利及び持続可能性を中心に置いた先住民族主導の移住戦略を承認しかつ促進するべきであり、並びに移住の経験の全期間を通じて、教育及び言語についての権利へのアクセス、並びに文化的アイデンティティの保存を促進するべきである。

H. 無国籍者

59. 外国人排斥の影響は、無国籍の分野においても見受けられてきた。立法措置を含む、国籍若しくは移民又は居住の地位に基づく制限的な、及び差別的な慣行は、通過国又は目的地国で出生した子どもの無国籍を引き起こしてきた。国境又は国籍の定義における変更により、無国籍となった女性及び女児の状況、特に不正規な移民の地位の女性のもとに出生した子どもに対し、国籍を付与しないという法又は慣行を通じたもの、又は関連する要因に基づくものを認識することが重要である。

60. 両委員会は、世界の無国籍人口の多数が、特定の種族的、宗教的及びマイノリティ集団に帰属していることを認識している。多くの事例において、この状況は、移住関連の文書の発給慣行における外国人排斥及び交差的な差別によって直接的に引き起こされている。法令及び行政慣行の中には、人種化されたマイノリティ集団を外国人であるかのように取り扱い、移住の文脈で適用されるものに近い規則及び手続きを適用している23

61. 締約国は、立法の改革を含む、無国籍を効果的に防止するための適切なあらゆる措置をとるべきであり、及び親の移民の地位又は居住上の地位にかかわりなく、移民の親のもとに出生したすべての子供の国籍についての権利を確保するべきである。明確な法的保障は、締約国の領域において出生し、又は登録されたいかなる子どもも、国籍のないままとどめ置かれることのないよう確保するべきである。これらの保障は、いかなる差別もなしに適用されるべきである。国籍の承認に関して出生地主義の原則が適用されず、かつ当該国において移民の親のもとに出生した子どもが、その親の国籍を取得することができない通過国又は目的地国において、当該国は、法令により、かつ実行において、出生地国の国籍を確保するべきである。

62. 両委員会は、締約国に対し、通過中に出生した者を含む、移住の文脈において出生した子どもについて、その親の移民の地位にかかわりなく、無国籍を防止しかつ根絶することを目的とした二国間又は多数国間協力メカニズムを促進するよう奨励する。簡略化され、かつ迅速化された手続きが、出生登録及び身分証明書へのアクセスを容易にするために実施されるべきである。通過中に出生したすべての子どもが氏名についての権利及び国籍を取得する権利を有することを確保するために、実効的な国際協力が追求されるべきである。子どもの福祉及び保護に関する当局は、住民登録担当官とともに、主導的な役割を果たすべきである。子どもの最善の利益の原則は、これらの手続き及び事案の性質に基づくすべての決定を導く主たる考慮事項とすべきである。

63. 両委員会は、無国籍者の地位に関する条約、及び無国籍の削減に関する条約を批准していないすべての締約国に対し、これらの条約を批准するために必要な措置をとるよう強く求める。両委員会はまた、締約国に対し、市民権、国籍及び入国に関する法、政策及び慣行の文脈における人種差別に関する報告書24における、現代的形態の人種主義、人種差別、外国人排斥及び関連する不寛容に関する特別報告者の勧告を実施する措置をとるよう要請する。

64. 両委員会は、締約国が、外国人排斥を防止することを目的とした広報イニシアティブに、移民と無国籍との連関に対処する言説を組み込むよう勧告する。このようなイニシアティブは、医療、住民登録及びその他のサービス提供者、家族法裁判所及び一般公衆を含む、鍵となる利害関係者を対象とすべきである。締約国は、外国人排斥に反対する政策の実施において、無国籍者及び無国籍について専門性を有する組織の完全な参加を容易にする措置をとるよう奨励される。

I. 宗教及び信念

65. いくつかの国において、外国人排斥的及び反移民的な言説は、実際に信仰するか又は信仰しているとみなされている宗教又は信念に基づいて、移民又はそのような者とみなされる者の特定の集団を主に標的としてきたのであり、宗教又は信念の自由についての権利に悪影響を及ぼし、かつ犯罪化及びその他の人権に対する制限をもたらしてきた。このような効果は、法執行及び司法当局の慣行におけるものを含む、移民管理の分野で広く見られてきた。不適切な取扱い、恣意的拘禁、犯罪化の言説及びその他の虐待の事例が、実際のものであるか、みなされたものによるかを問わず、特定の宗教又は信念を有する移民に対する暴力及び差別の形態として、継続的に報告されてきた。ある事案においては、社会に対する偏ったアプローチが、ある住民を他者又は外国人とみなす意識をもたらし、差別的で、不平等な、さらには暴力的な態度につながり、宗教的自由についての権利を損なっている。スティグマ化するような言説は、宗教又は信念を理由として、特定の人を危険であるか、又は有害なものと描写し、さらにはテロリズムのような重大な犯罪とこれらの人々を結び付けている。両委員会は、締約国における激しいイスラム排斥及び反ユダヤ主義について、特に懸念する。

66. 両委員会は、締約国が、その管轄下にあるすべての個人について、宗教に基づく区別なしに、平等な取扱いを確保するために必要なあらゆる措置をとることを強く勧告する。コミュニケーション及び教育などの分野における措置は、文化的、種族的及び宗教的多様性を認めるべきである。居住する国の国民であるにも関わらず,特にその宗教に基づいて、引き続き他者とみなされている人々が経験している構造的不平等に対処することを目的とした政策を強化することが不可欠である。このようなスティグマ化するような表象が、逆に、制限的な移民政策を正当化するために利用されており、この政策がさらに偏見及び不平等な取扱いに拍車をかけている。

67. 宗教又は信念の自由に関する特別報告者が述べたように、外国人排斥に対処するための公共政策は、その法的な基準及び禁止と並行して、宗教又は信念に基づく差別を外国人排斥的な差別の一側面として認めるべきである。このような側面はまた、関連する意識向上及び教育イニシアティブ、データ収集、並びにコミュニティへの対応及び被害者への支援サービスの提供にも反映されるべきである25

J. 社会経済的地位

68. 移民及びそのような者とみなされる他の者に対する外国人排斥は、階層又は社会経済的な地位に基づく複合的な形態の差別と相互に交差する。差別に関する他の事由に加えて、階層又は社会経済的な地位は、移民、特に非正規の移民の地位を有する者について、スティグマ化し、時には犯罪化するような表象を構築するために用いられる。

69. 両委員会は、移住、外国人排斥及び階層又は社会経済的な地位の交差が、人の移動に関する構造的な原因に現れることを強調する。安全かつ正規の移住の経路が欠如していることは、差別的で、選別的、かつ不平等なアプローチによってさらに悪化し、脆弱な状態にある人々に対して、自国を離れる権利及び庇護を求める権利を行使するにあたって、非正規で危険な経路を使用することを強いている。

70. 両委員会は、締約国が、外国人排斥を根絶するその努力において、階層又は社会経済的な地位に基づく複合的な形態の差別に対処する措置をとるよう、強く勧告する。出身国における移住の根本原因、並びに通過国及び目的地国における移民政策の差別的側面に対処することは、このような政策の核心である。

K. 健康上の地位

71. 両委員会は、外国人排斥及びこれを表明する政策が、個人の健康上の地位と交差しうることを強調する。査証並びに居住及び労働許可へのアクセスを規律する規制は、健康に関連する基準に従う場合、まさに交差する。ある国家においては、HIV、結核、精神衛生的な症状、又は他の特定の症状のある人が、移住の文脈における一連の人権の享有を排除され、又は厳しく制限されている26。両委員会は、締約国に対し、国を離れる権利、移動の自由、又は居住許可を取得するか若しくは移民の地位を正規化する可能性に悪影響を及ぼす、健康状態に関する差別的な規定を廃止する目的で、規制を再検討するよう強く要請する。その際に、締約国は、移住手続の文脈における健康に関する審査が、無差別、自発性、及び秘密性の原則を遵守し、並びに権利を基盤とし、ジェンダーに配慮し、かつ文化的に適切なものであることを含む、国際人権基準と一致する形で実施されることを確保しなければならない。

72. 両委員会は、特に公衆衛生上の緊急事態の際に蔓延する反移民的な言説、即ち移民を、目的地国の住民に悪影響を及ぼす伝染病又はその他の健康問題の保菌者であるかのように描写するものに対して警告する。このような表象は、移民の人権に対して有害な影響を有する差別的かつ恣意的な政策の正当化を助長する。両委員会は、締約国がこのような言説を助長し、又は拡散することを差し控え、かつ他の行為者によるこのようなレトリックを明確に拒絶するよう勧告する。

VI. 外国人排斥を根絶する包括的政策の主要な要素

73. 両委員会は、外国人排斥の多次元的な性質を強調する。その原因、現れ方及び、特に、その結果は、構造的な要因に内在的に関連しており、社会的、文化的、歴史的、経済的、及び政治的側面という広範囲に及んでいる。したがって、両委員会は外国人排斥及び交差的形態の差別に対処する包括的かつ全体論的な政策の必要性を強調する。この方向性において、両委員会は、締約国が、かかる政策において次のような鍵となる要素を網羅することを勧告する。

A. 法的枠組

74. 締約国は、国際的及び地域的人権条約を批准すべきであり、並びに外国人排斥の危険にさらされているすべての人の人権を保護するための関連する基準を効果的に履行すべきである。締約国はまた、国連人権高等弁務官事務所のガイドライン27を考慮に入れて、包括的な反差別立法枠組を確立すべきである。締約国は、法による差別の禁止を再確認すべきである。この法的枠組は、複合差別及び交差的差別の概念を含む、アップデートされた国際人権基準を含めるべきである。

75. 締約国は、外国人排斥及びその人権に対する影響を根絶するための全体論的な公共政策を規律する、一貫性があり、かつ包括的な規範的枠組を採択し、又は強化しかつ履行すべきである。立法枠組の重要な要素には、次のものが含まれる。

       (a) 移民及び自国民がいかなる差別もなしに平等に人権を享有することを確保すること、

       (b) 権限のある閣僚及長官に、それぞれ任務を割り当てること、

       (c) 部門間調整を立ち上げること、

       (d) 市民社会の参加を制度化すること、

       (e) 短期的及び長期的目標を設定すること、

       (f) 十分な財源、定期的なデータ収集、説明責任、及びフォローアップの仕組みを保証すること。

76. 両委員会は、締約国が移民及びそのような者とみなされる他の者の人権を侵害する外国人排斥の行為を、法によって禁止し、かつ適正な制裁を科すよう勧告する。これらの規定は、交差的なアプローチによって立法を解釈し、かつ履行する義務を確保すべきである。締約国は、移住、庇護、労働、健康及びその他の分野の立法あって、国及び地方のレベルにおける、外国人排斥、差別及び不平等を直接に又は間接に助長するものを再検討し、必要とされる場合には、改正するべきである28

B. 機構間連携アプローチと部門間調整

77. 両委員会は、外国人排斥及び人権の対する有害な結果を除去するためには、政府のあらゆる機関及びあらゆるレベルの関与を確保することが不可欠である。教育、コミュニケーション及びメディア、人権、公平、ジェンダー、社会的包摂、人間開発、医療、労働及び社会的保護、内務、司法、移住、住居、子どもの福祉、外交、文化、住民登録、経済、安全保障、並びにスポーツなどの分野における共同の行動が、全体論的なアプローチを確保するために極めて重要である。

78. 両委員会は、外国人排斥、人種主義及び交差的な形態の差別を監視し、防止し、かつ対処する専門的で、強力かつ独立の公的機関を推進することの重要性を強調する29。国内人権機関又は国内平等機関とは別個であるか、又は一部を構成するかどうかに関わりなく、このような機関は、とりわけ、次のような活動をすべきである。

       (a) 外国人排斥、並びにその原因、現れ方、及び結果に関する研究及びデータ収集イニシアティブを開発すること、

       (b) 外国人排斥的、人種主義的及び関連する事案についての申立てを受理し、かつ解決すること、

       (c) 外国人排斥に反対するキャンペーンを実施し、かつ異文化間の統合を促進すること、

       (d) 他の機関に対し、それぞれの任務の範囲内における外国人排斥を防止することについて訓練し、及び助言すること。

79. 締約国は、外国人排斥を根絶することを目的とする政策において、全体論的なアプローチを確保するために、機構間調整メカニズムを策定し、かつ整備するべきである。このメカニズムは、正式に設置され、このような政策の実効的な履行を保証するための適切な意思決定権限を付与されるべきである。外国人排斥及び人種主義の影響を受ける移民及びその他の集団を代表するものを含む、市民社会組織の正式かつ定期的な参加を確保するための措置がとられるべきである。

80. 両委員会は、一貫性が機構間調整の中核的原則であることを再確認する。締約国は、このような全体論的なアプローチを構成する政策の中で、及び政策間で、一貫した実行及び目標を確保するための措置をとるべきである。逆に、一貫性を欠くか、又は矛盾する決定又は優先順位を回避するための措置がとられるべきである。例えば、移民の社会的包摂を促進し、かつ正規の雇用を増加させつつ、サービスへの移民のアクセスに対して障壁を課し、かつ居住許可及び労働許可の取得を制限することは、一貫性を欠くであろう。締約国は、移住、労働及びその他の社会政策間の不協和を回避すべきである。

81. 両委員会は、国、広域、及び地方政府間の効果的な調整が、外国人排斥に反対し、並びに社会的結束及び異文化間統合の促進のための包括的政策の決定的に重要な構成要素とすべきであるという見解である。国家が分権化するほど、あらゆるレベルでの統治の間で調整のメカニズムが存在するよう確保する必要性は一層大きくなる。このような協力を確保するための、立法上の及び運営上の措置がとられるべきである。

C. 地方政府

82. 人種差別に関連する多数の分野における権限は、地方政府によって行使される。両委員会は、人権に関する義務が、あらゆるレベルの政府に及ぶことを想起し、外国人排斥を根絶する全体論的な政策において、地方政府が極めて重要な役割を果たすべきであることを強調する30。市及びその他の地方政府は、その地域社会において外国人排斥を防止するための独自の包括的な政策を策定し、かつ実施すべきである31。中央政府は、外国人排斥及び人種主義に反対する国家政策及び行動計画を実施する地方政府を支援するために、財政的援助の提供を含む措置をとるべきである。

83. 両委員会は、地方当局が移住に関する権利を基盤とし、ジェンダーに配慮しmかつエビデンスに基づく言説を促進するよう勧告する。このような言説は、次のようなものでなければならない。

       (a) 多方面的な異文化間統合の重要性を強調すること、

       (b) 地域社会の起源及び多様性に関して記憶する政策を推進すること、

       (c) 地域社会に対する移民の貢献と、移民が地域社会に帰属していることを認め、地方政府が外国人排斥的なレトリックに、いかなる形態においても加担することのないよう確保すること。

84. 地方政府は、当該地方の法令、政策、計画及び慣行から、あらゆる形態の差別を助教する措置をとり、国籍、移民の地位、ジェンダー又は他のいかなる交差的な要因に基づいて、サービスへのアクセス及び諸権利が制限されないよう確保すべきである。さらに、地方政府は、その地域社会で生活する移民及びそのような者とみなされる他の者を保護する政策を実施するよう奨励される。このような行動は、しばしば政治的又は経済的利得を得ることを目的として、移民に対する差別を助長し、かつ根深い社会問題と恐怖の原因を移民に押し付ける言説を含む、外国人排斥及び人種主義が増大し、かつ憂慮すべき水準に達している国の状況においては、特に重要である32

85. 両委員会は、外国人排斥を防止し、かつ社会的結束を促進するために、次のものを含む具体的措置をとることを勧告する33

       (a) 文化、スポーツ34、芸術、宗教、教育及びレクリエーションの分野におけるものを含む、異文化間のコミュニティ空間、対話及び関連するイニシアティブを育成し、かつ資金を提供すること、

       (b) 移住、移民及び文化的多様性に関して責任ある報道を促進するために、地方メディアと連携し、かつその能力を構築すること、

       (c) 移民及びそのような者とみなされる他の者に対する外国人排斥、人種主義、及び関連する差別の否定的影響について、すべての地域社会の構成員に啓発すること、

       (d) 国籍、人種及びその他の事由に基づく地域社会の社会的及び文化的隔離を防止することを目的とする住宅政策を採択すること、

       (e) 必要な場合には、国際的な協力をもって、人道的な移動の危機の文脈において、歓迎的な受入れ及び保護政策を実施すること、

       (f) 労働組合及び使用者団体と連携して、外国人排斥及び差別に反対する職場政策を確立すること。

D. 国内及び地方人権機関

86. 両委員会は、国内並びに地方の人権機関及び平等機関が、外国人排斥を根絶するための政策を、特にその人権に対する影響に関して、継続的な評価及び監視において鍵となる役割を果たすべきであることを強調する。締約国は、その独立性及び人権の促進及び保護のための国内機関の地位に関する原則(パリ原則)の遵守を確保するために、人的及び財政的資源を通じたものを含む、これらの機関を強化するための十分な措置をとるべきである。

87. 国内及び地方の人権機関は、適切な場合には、移民及びその家族の権利を促進し及び保護することに焦点を当てたテーマ別部門を創設するよう奨励される。すべての事案において、これらの機関は、それらが取り組むすべてのテーマ別分野における移民及びそのような者とみなされる他の者の権利の横断的かつ真正の包摂を確保するために、十分な措置をとるべきである。

88. 国内及び地方の人権機関は、とりわけ、次のような活動を促進することができるであろう。

       (a) 量的及び質的なデータを収集すること、

       (b) 観察員の設置などの、関連政策の監視を含む、外国人排斥及び人種主義の調査及び監視のためのメカニズムを実施すること、

       (c) 無差別政策及び慣行に関して、当局に助言し、訓練し、及び指導すること、

       (d) 実効的で、アクセス可能な、安全かつジェンダーに配慮した、外国人排斥の被害者が申立てを提出する通報手続を創設すること、

       (e) 法令及びその他の規制における差別的規定に対する、直接の被害者からの個別的又は集団的な、並びに第三者からの司法的な申立てを提出すること、

       (f) 外国人排斥的、及び関連する事件又は慣行により被害を受けた人に対し、法律扶助及び相談サービスを提供すること、

       (g) 異文化間メディエーションの手続きを開発すること、

       (h) 地域社会の起源及び多様性に関して記憶する政策を推進すること、

       (i) 機構間の対話を支援すること。

89. 両委員会は、国内及び/又は地方の人権機関の地域的及び国際的なネットワークが外国人排斥、人種主義、及びあらゆる交差的形態の差別に反対するイニシアティブを開発し、及び/又は強化するよう奨励する。

E. 社会的参加と共同体の関与

90. 両委員会は、締約国がとりわけ、市民社会組織、移民、外国人排斥によって影響を受ける人種化された集団、人権擁護家、学術界、労働組合、若年者、女性団体、信仰に基づく集団、地域社会、離散状態の人々の団体、草の根組織、使用者団体及び民間部門の、外国人排斥及び交差的形態の差別を根絶する努力への効果的な参加を確保するために適切なあらゆる措置をとることを勧告する。

91. 両委員会は、締約国が外国人排斥及び交差的形態の差別によって影響を受けたすべての集団をエンパワーする共同体主導のイニシアティブを支援する政策を開発し、かつ強化することを勧告する。このようなイニシアティブは、共同体が回復力(レジリエンス)を構築し、自らの権利を主張し、並びに差別を防止し、抵抗し、及び根絶する努力に活発に参加することを可能にするべきである。締約国は、多様な共同体が結集して外国人排斥及び人種主義を連携して対処し、かつ各共同体内のすべての個人の間で、有意義な交流、相互理解及び連帯の構築を促進するよう、共同体の関与及び対話を育成する措置をとるべきである。

92. 締約国はまた、外国人排斥を防止し、対処し、かつ根絶することを目的とする措置の実施において、特に、民間部門が有する職場における、並びにメディア、住居、健康、教育、文化及び娯楽などの分野における差別的慣行に対する影響力に鑑みて、民間部門の参加及び責任を促進するべきである。

F. 司法運営

93. 締約国は、すべての移民について、いかなる時点においても、かつその地位に関わりなく、司法審査及び裁判を確保する義務を有する。両委員会は、その司法制度内のあらゆる行為者(裁判官、検察官、及び弁護人を含む)を対象として、行政及び司法手続、判決並びに決定における外国人排斥を防止するために、十分な措置がとられることを勧告する35。締約国は、移住の文脈における国際人権法及び基準に関する定期的な訓練及び関連するプログラムを推進すべきである。両委員会は、裁判官及びその他の司法当局によって採択されるあらゆる手続的及び実体的決定が、外国人排斥を全く含んではならないことを強調する。このようなイニシアティブには、決定が外国人排斥的及び差別的なレトリックによって影響されないよう確保することを目的として、非正規移住に包括的に対処するモジュールが含まれるであろう。

94. 締約国は、移民及びそのような者とみなされる他の者に対する外国人排斥的、人種主義的又は交差的な性質のヘイトクライムの事案が、権限のある当局によって適切に捜査され、訴追され、及び処罰されることを確保するために十分な措置をとるべきである。このような措置は、実効的及び抑止的な制裁、並びに報復に対する保護を含めるべきである。人種差別撤廃条約第1条は、このような事案が実効的に捜査され、制裁されることを確保するために、ダイナミックに解釈されるべきである36

95. 両委員会は、締約国が、実効的で、アクセス可能かつ安全な司法へのアクセスを、その移民の地位に関わりなく、移民及び外国人排斥、人種主義及び交差的な形態の差別のすべての被害者に対して確保するために、適切な措置をとることを勧告する。このような措置は、サービス提供者が、出入国管理当局及び関連する法執行機関に対し、移民の地位に関するいかなる情報も言及しないことを保証する実効的なファイアーウォール(防御壁)を設置することを含めるべきである。退去強制の恐怖が、司法に訴えることの抑止となってはならない。締約国は、移民が報復の恐れを感じることなく、ヘイトクライム事案を通報するようエンパワーし、適正な手続きの保障を確保し、かつ訴訟が終結する前に当該国から移民を退去させることを防止するために、効果的な措置をとることが極めて重要である。

96. 必要な場合には、包摂的な行政及び司法手続を確保するために、年齢、ジェンダー、障害、言語及びその他の事由に基づく、適切な手続的配慮が提供されるべきである。障害のある人のための音声通訳及びアクセシビリティは、司法及び行政システム内の、移住、庇護及びその他の関連する手続きにおけるものを含め、義務的とすべきである。

97. 両委員会は、外国人排斥、人種主義及び交差的形態の差別が、特に、死刑が許容されている国のものを含む刑事手続において、恣意的な司法判断をもたらしうることに懸念している。移民及びその他の人種化されている集団は、死刑を宣告されたものを含む、有罪判決を受けた者のうち、均衡を欠いた割合を示している。両委員会は、締約国が、適切な場合には、次の行動をとるよう勧告する。

       (a) 死刑が現在も許容されている場合には、死刑を廃止する措置をとり、かつ死刑の廃止を目的とした市民的及び政治的権利に関する国際規約の第2選択議定書を批准すること、

       (b) その時点まで、捜査段階、審理、判決の言渡し、及び全ての関連する決定を含む、司法手続の全般において、無差別の原則に基づき、国籍、人種、エスニシティ、ジェンダー、言語、宗教及びその他の差別禁止事由に基づくあらゆる差別的影響を防止し、かつ撤廃する適切な措置をとること、

       (c) 刑事司法制度の運営及び機能における人種差別の防止に関する一般的勧告31(2005年)において、人種差別撤廃委員会により開発されたガイドラインを完全に実施すること。

G. 能力構築と意識向上

98. 両委員会は、外国人排斥の根絶に関与するすべての公的機関に能力を強化するための措置がとられることを勧告する。このような措置はまた、労働者団体及び使用者団体、メディア企業、関連する民間アクター、コミュニティ及び宗教的指導者及び団体、並びに一般公衆を含むその他のアクターにも適用すべきである。

99. 締約国は、外国人排斥に対処し、かつ異文化間統合を醸成することに焦点を当てる継続的な訓練及び意識向上イニシアティブを設計し、かつ整備すべきである。継続的な研修プログラムが、国及び地方レベルでの行政全体にとって、決定的に重要かつ横断的な手段を構成することを保証するために、資源の配分及び成果の定期的な評価を含む、十分な措置がとられるべきである。このようなイニシアティブにおいて、締約国はまた、市民社会組織、学術界、労働者団体、国際機関及びその他の専門家、信仰に基づく集団、移民及び草の根の団体とのパートナーシップを構築するよう奨励される。締約国は、このような訓練プログラムの設計、実施及び評価において、専門家及び利害関係者の活発な参加を促進するべきである。

H. データ収集と権利基盤型の指標

100. 締約国は、福祉及び社会への統合との関係で、移民及びその家族が直面する課題を特定するために、細分化されたデータの定期的な収集を強化するべきである。データ収集メカニズムは、国勢調査、家計調査、労働力調査及び教育関連調査を含む、その他の手法によって補完されるべきである。国及び地方レベルの、すべての権限ある機関は37、差別禁止事由に基づいて、様々な社会的集団に、データを分類する措置をとるべきである。このような措置によって、共通する課題及び障壁、並びにこれらの集団が直面する特有の課題及び障壁を特定し、かつ強調すること、したがって、政策及び慣行を調整することが可能になるであろう。

101. 権限ある当局は、移民及びそのような者とみなされる他の者に対する口頭による、及び物理的な暴力及びハラスメントを含む、外国人排斥的な態度に関して、並びに司法及び救済への被害者のアクセス及び加害者に科せられる制裁に関連する措置に関して、数的及び質的情報を集積すべきである。外国人排斥及びそれが人権に対して及ぼす否定的な影響に対処し、かつこれらを防止する政策の一部として、移民の包摂及び異文化間統合を測定し、公衆の認知及び態度を把握し、並びに体系的人種主義の根本原因に関するより良い理解を獲得することを目的として、定期的な世論調査及び意識調査が実施されるべきである。オンライン上の外国人排斥への追跡に、特別の注意が払われるべきである。その傾向が、学際的なアプローチを用いて分析され、かつ定期的に公表されるべきである。

102. 締約国は、移民の死亡、失踪、恣意的拘禁及び追放に関する事案、並びに危険な移住経路において発生するその他の事案に関して、細分化されたデータを収集するべきである。これらのデータは、これらの事態を防止し、移民を保護し、及び実効的な司法及び救済メカニズムへのアクセスを容易にするための、政策の改革を含む、諸措置に情報を提供するために体系的に分析されるべきである。

103. 両委員会は、サービス提供者のデータが移住関連の法執行又は関連する目的のためにアクセス可能ではなく、又は使用されないことを確保するために、法による規制及び厳格なデータ保護措置の実効的な実施の重要性を強調する。データは、インフォームド・コンセント、本人による自己認定及び機密性を含む倫理原則を遵守しつつ、プライバシー及びセキュリティを保護するよう、収集され、蓄積され、及び共有されなければならない。収集されたデータは、平等を促進し、並びに外国人排斥、人種主義及び差別を防止する政策の目的を達成されるために、厳格に使用されなければならない。

104. 移民、その家族及びコミュニティに対する外国人排斥及び交差的形態の差別の消極的な影響について、定期的な情報の発信を確保するための政策が整備されるべきである。これには、社会統合、人間開発、及び複数の分野における公共政策の他の主要な目標について、その結果の分析が含まれる。

I. フォローアップと定期的な再評価

105. フォローアップ、定期的なアセスメント、モニタリング及び事後評価のための透明な制度の確立が、外国人排斥及びその原因に対処し、かつ結果を反転させる政策の極めて重要な側面である。両委員会は、外国人排斥、その原因及び人権に対するその効果を防止し、及び根絶する全体論的な政策のあらゆる構成要素の実施状況を監視する上での、独立した専門の公的機関の役割を強調する。両委員会は、関連する分野、例えば反人種主義及び反差別機関などの、国内人権機関、平等機関及び他の独立した公的機関が、定期的報告書の発行を含む、政策の進捗、並びにその短期的及び長期的な影響を評価する措置をとるよう勧告する。このようなイニシアティブはまた、市民社会組織、移民団体、地方当局、学術界、労働組合、多文化的な学校及び団体、宗教団体、民間部門、使用者団体及び国際機関の参加を得るべきである。このような措置は協力で、有意義で、参加型の、及び制度化された協議メカニズムを確保すべきである。

J. 資源配分と国際協力

106. 外国人排斥を防止し、かつその原因及び結果に対処する政策の効果的な実施は、締約国が、十分な資源を保証するために必要なあらゆる措置をとることを必要とする。適切な財政的、人的、及びその他の資源を配分することが、外国人排斥を根絶するあらゆる計画及び慣行の執行を成功させるうえで極めて重要である。

107. 安全という視点を通じた移住に対処する政策に向けられる資源は、包括的なアプローチを履行するために再配分されるべきである。このことは、外国人排斥及び関連する差別的かつ有害な慣行を防止することに貢献するであろう38。不正規の移民の地位の犯罪化、移住関連の行政拘禁、及び国境管理の安全保障化もまた、ステレオタイプ化した外国人排斥的な言説をさらに助長するため、これらに配分される資源は、正規化の経路を奨励し、かつ適切な立法措置及び行政措置を通じた社会的包摂を促進することを目的とした措置に再配分することができるであろう。

108. 国際的な移住によって、その人口の多様性増大を経験している締約国、特に短期間のうちに大規模な水準の人の移動に対応している締約国は、社会全体の利益となる全体論的な政策を実施するために必要とされる資源の配分を確保するために、国際協力メカニズムを通じた支援を受けるべきである。特に、締約国は、ニューカマーの受け入れ及び社会的包摂のためのサービスを含む、差別のないすべての人権への効果的なアクセス及びそれらの享有を保証すべきである。国際機関は、無差別原則への遵守を外部資金援助の条件とすることにより、重要な役割を果たすことができる。


[1] 総会決議70/1、パラグラフ29。

[2] 本合同一般的勧告/一般的意見の目的のために、「そのような者とみなされる他の者」という用語の範囲については、下記のパラグラフ12を見よ。

[3] 意見は、オンライン上での提出、並びに2024年9月から11月にかけて、ジュネーブ、バンコク、ブリュッセル、ダカール及びパナマシティ、並びにカナダのトロント及びアメリカ合衆国のオースティンで開催された、対面の世界的及び地域的協議の際に収集された。

[4] とりわけ、次の文書を見よ。Inter-American Court of Human Rights, Juridical Condition and Rights of Undocumented Migrants, Advisory Opinion, No. 18/2003, 17 September 2003.

[5] 次の諸文書を見よ。移住労働者等権利委員会、一般的意見1(2011年)、2(2013年)、5(2021年)及び6(2024年)、移住労働者等権利委員会及び子どもの権利委員会、合同一般的意見3/一般的意見22(2009年)、及び合同一般的意見4/一般的意見23(2009年)、経済的、社会的及び文化的権利委員会、一般的意見20(2009年)、並びに女性差別撤廃委員会、一般的勧告39(2022年)。

[6] International Labour Organization (ILO), International Organization for Migration (IOM) and Office of the United Nations High Commissioner for Human Rights (OHCHR), “International migration, racism, discrimination and xenophobia”, August 2001, p. 2, 及びOHCHR and Global Migration Group, Principles and Guidelines, Supported by Practical Guidance, on the Human Rights Protection of Migrants in Vulnerable Situations (Geneva, OHCHR, 2018), p. 18. 次の文書も見よ。Office of the United Nations High Commissioner for Refugees, Guidance on Racism and Xenophobia (Geneva, 2020).

[7] ILO, IOM and OHCHR, “International migration, racism, discrimination and xenophobia”, p. 2.

[8] 次の文書を見よ。A/HRC/32/50.

[9] ダーバン宣言、para. 6。

[10] 次の文書を見よ。United Nations network on racial discrimination and protection of minorities, Guidance Note on Intersectionality, Racial Discrimination and Protection of Minorities (Geneva, OHCHR, 2022), 女性差別撤廃委員会、一般的勧告28(2010年)、para. 18, 並びに人種差別撤廃委員会、一般的勧告25(2000年)、28(2002年)及び29(2002年)。

[11] 女性差別撤廃委員会、一般的勧告26(2008年)、para. 5。

[12] CMW/C/GTM/CO/2, paras. 26 and 27.

[13] CMW/C/CHL/CO/2, para. 28.

[14] CERD/C/ISL/CO/21-23, paras. 19 and 20.

[15] 例えば、次の文書を見よ。CMW/C/CHL/CO/2, paras. 27 and 28.

[16] 合同一般的意見、移住労働者等権利委員会、一般的意見3/子どもの権利委員会の一般的意見22(2017年)、para. 23

[17] 合同一般的意見、移住労働者権利委員会、一般的意見3/子どもの権利委員会、一般的意見22(2017年)及び移住労働者権利委員会、一般的意見4/子どもの権利委員会、一般的意見23(2017年)。

[18] 次のサイトを見よ。https://www.washingtongroup-disability.com/question-sets/wg-short-set-on-functioning-wg-ss/

[19] 次のサイトを見よ。https://www.ohchr.org/en/disabilities/human-rights-indicators-convention-rights-persons-disabilities-support-disability-inclusive-2030.

[20] CMW/C/CHL/CO/2, para. 27.

[21] CERD/C/MDA/CO/12-14, paras. 27 and 28.

[22] CMW/C/GTM/CO/2, para. 27.

[23] CERD/C/RUS/CO/25-26, para. 33.

[24] A/HRC/38/52.

[25] 次の文書を見よ。https://www.ohchr.org/sites/default/files/documents/issues/racism/cfis/

cerd-cmw-jointgc/subm-concept-paper-cerd-un-enti-sr-freedom-religio-elief.pdf.

[26] CERD/C/BIH/CO/14-15, paras. 31 and 32; CERD/C/QAT/CO/22-23, paras. 34 and 35; and CMW/C/KGZ/CO/2, paras. 27 and 28.

[27] Protecting Minority Rights: A Practical Guide to Developing Comprehensive Anti-Discrimination Legislation (United Nations publication, 2022), 訳注:日本語訳は次の文書を参照されたい。『包括的反差別法制定のための実践ガイド』(反差別国際運動、2023年)、https://imadr.net/guide_antidiscrimination_japanese/

[28] 人種差別撤廃委員会、一般的勧告30(2004年)、para. 7.

[29] CERD/C/ZAF/CO/9-11, para. 39.

[30] A/HRC/32/50, para. 75.

[31] CMW/C/ARG/CO/2, para. 29.

[32] CMW/C/GTM/CO/2, para. 27.

[33] 次の文書も見よ。総会決議73/195、para. 32 (f).

[34] CERD/C/NLD/CO/22-24, paras. 13 and 14.

[35] 人種差別撤廃委員会、一般的勧告31(2005年)、para. 5.

[36] CERD/C/DNK/CO/22-24, para. 19.

[37] ダーバン宣言及び行動計画、行動計画、para. 92.

[38] 合同一般的意見、移住労働者権利条約、一般的意見4/子どもの権利委員会、一般的意見23(2017年)、para. 12.