近年、差別はよりあからさまになり、深刻になってきた。世界では、差別に起因する広範囲な人権侵害が紛争や戦争につながっている。2023年は、すべての人の尊厳と平等を謳った世界人権宣言の採択から75年目である。しかし、現実はその理念に追いついていない。人権や平等に対するバックラッシュはエスカレートしている。特にそうした攻撃の矛先は真っ先にマイノリティに向けられる。そうした状況を鑑み、2022年末、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)と英国NGOのEqual Rights Trust(ERT)は、すでにある人権宣言、人権条約、実施のための仕組みに関する情報と、世界の各地域や国における法律や実践例の情報を集め、多数の専門家の英知を動員し、「包括的反差別法制定のための実践ガイド」を作成した。国連全加盟国が包括的に差別に対処する制度を国内で確立するために、その導き手となる重要なガイドである。
この実践ガイドは、立法者や法律家、行政を預かる人、そして、私たち人権NGOを含む社会のさまざまな人びとに向けて作られたもので、「差別のない平等な社会の実現」がなぜ求められるのか、実現のためには何が必要になるのかを示している。
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IMADR通信216号 INDEX
特集:包括的反差別法を世界のトレンドに
・日本に絶対必要な包括的反差別法制
・実践ガイド作成に至る経緯と目的
・実践ガイドに書かれていること
・質疑応答
◦髪質・髪色はひとつじゃない、あらゆる生徒の髪が尊重される学校への変革
◦連載「抗するを考える」③
◦報告 第32回ヒューマンライツセミナー
◦ジュネーブ便り〜国連人権理事会 理事国選挙〜
◦本の紹介『現代世界と人権27「戸籍」人権の視点から考える』
◦IMADRからのお知らせ