質疑応答

ワークショップでおこなわれた質疑応答の一部を紹介する。

質問:包括的反差別法を制定している国は何カ国あるのでしょう?また、今後ガイドに沿った反差別法を制定する国が出てきた場合、そうした情報を国連の方で可視化するプランはありますか?
ジム:現時点での正確な数は把握していませんが、少なくとも45~50ヶ国で包括的反差別法と呼べる法律が制定されていると思います。
クロード:ERTとOHCHRの現地事務所で制定の動きがあるか、前進しそうなところはどこかという調査をしました。ERTとこの結果を公表するかどうかを話し合います。また、あまりアクセスしやすい方法ではないですが、各人権条約委員会の国別審査では各国の積極的な法的側面も評価しているので、総括所見を参照することはできると思います。

質問:反差別法制定は国際的潮流なのでしょうか?
クロード:包括的差別法は世界中の波になっていると思います。UPRでも言及されています。多くの政府でも話題が出ています。
ジム:すでに制定されている反差別法の多くは、ここ25年間で制定されていることから、国レベルの動きが盛んになっていると言えると思います。また、来週はブラジルの国内人権機関とお話しする予定です。ほかにもさまざまな政府や市民社会の人々と包括的反差別法のニーズについて話しています。関心は高まっていると思います。

質問:日本では人権に関する基本インフラができていない状況ですが、現状を好転させるためには何が必要でしょうか?
ジム:必要なのは、なぜ法律が必要なのかを明確にしておくこと。すべてのステークホルダーが声を一つにすることです。この会議で皆さんがすでにその要素を共有されていることが印象深かったです。皆さんも課題を乗り越えられるのではないかと思います。
クロード:国によっては制定を目ざした取り組みが長期間進んでいないところもあると思います。私たちのガイドの役目はそこを推し進めることです。また、困難に直面しても、市民社会が団結してさらに運動を高めることができます。法律制定のプロセスが遅いとしても、市民社会が一致団結する、そしてさまざまな団体がお互いを支え合うという強い意志をもつ、共通の声をもつ。さまざまな困難はありますが、その運動そのものがとても生産的だと思います。