差別に対応するための国のルール

2000.10.31

 個別の差別課題に対する日本の法律は、それら課題の効果的な解決に至るように作られているでしょうか?差別に対応するためには、差別を禁止することはもちろん、ポジティブ・アクション、平等に関する義務、実効的な救済や救済のための仕組み、国内人権機関、マイノリティの権利の保障、これらが必要です。

▫︎差別事由を限定しません。「その他の事由を含む」などと明記し、範囲を広くすること。
▫︎交差性差別やみなし差別、合理的配慮の拒否など、多様な差別の形態に対応すること。
▫︎生活のあらゆる空間やレベルで起きるものを含むこと。

<国際法において認められている差別事由>

年齢出生市民的地位・家族的地位・介護者の地位皮膚の色カーストを含む
世系
障がい経済的地位民族性性別表現性自認
遺伝性もしくはその他の病気に対する体質健康状態先住民族の出身言語婚姻上の地位
母性・父性の地位移民の地位マイノリティの地位国民的出身国籍
居住地政治的またはその他の意見妊娠財産人種
難民または庇護の地位宗教または信念性及びジェンダー性徴性的指向
社会的出身社会的状況

 国際人権法で認められた定義と一致した、あらゆる形態の差別の明確な定義を提供すること。
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 歴史的・構造的な差別により平等な機会や権利を奪われてきた人や集団に対する実質的な平等の実現を確保するために、ポジティブ・アクション(特別措置)の制定を明確に許可し、規定すること。
*措置は平等確保までの暫定的なものであり、終了前には、目的が達成されたかどうかの実態調査を行う必要があります。

 国には、差別を撤廃し、平等を確保するための積極的な義務があります。
・アクセシビリティの確保
 *アクセシビリティの確保の不遵守は、差別の一形態です。
・予防的義務:差別が発生しないようにさまざまな仕組みを整える義務。
・制度的義務:官民両セクターの機関・団体の業務・運営において平等を推進しようとする義務。
・主流化義務:すべてのレベルの公的な意思決定に、平等に関する計画策定を統合させる義務。

 被害が実際に救済され、再発の防止を図る仕組みを確保する必要があります。
<救済の種類>
・加害者に対する実効的、抑止的かつ均衡性のある制裁
・被害者に対する金銭賠償や原状回復を含む賠償
・差別の被害の認定
・今後起きないように、法令、制度、措置を変更/新設したり、偏見や固定観念への対処や公的な謝罪等を行うこと

<救済の仕組み>
差別を経験した人が、実効的に司法にアクセスできるようにしなくてはいけません。
◉ 司法へのアクセスを確保するためには?
 ・安価でハードルが低く、誰でも利用しやすくすること
 ・個人の代わりに人権団体が申し立てられるようにすること(第三者の参加)
 ・訴えられた側が、「差別を行っていない」ことを証明すること(立証責任の転換の確保)

◉ 司法だけではありません
 多くの国には、十分な資源と適切な権限をもつ、政府から独立した国内人権機関があります。差別の被害について、相談、調査、判定、勧告に加え、予防のための人権指導も行います。弁護士をつけたり費用をかけたりすることなく、誰でも利用できます。
 また、国連人権条約機関に差別の苦情を提出できるようにすることも重要です。日本は批准・加入している人権諸条約に備わっている個人通報制度をいずれも取り入れていません。

 平等と無差別に対する権利は、マイノリティの権利の中核をなすものです。差別からの包括的で実効的な保護を規定する法律なしに、マイノリティの権利を実現することはできません。
 マイノリティの権利を保障するために、以下を含むことが欠かせません。
▫︎法律、政策、慣行が、マイノリティの文化享有、宗教の信仰・実践、言語の使用に関して、直接的/間接的に差別することがないようにすること。
▫︎マイノリティコミュニティの承認、有意義な参加、協議を保障すること。
▫︎マイノリティの権利の享有に必要な立法的、政策的、実践的な措置を包括的反差別法の制定と並行して策定すること。
             *マイノリティの中でも先住民族は固有の権利を有しています。