2月3日に始まった女性差別撤廃委員会(CEDAW)90会期では、ベリーズ、ベラルーシ、コンゴ、コンゴ民主主義共和国(例外的レポート)リヒテンシュタイン、ルクセンブルク、ネパール、スリランカ各政府が提出した報告書の審査が行われます。
3日午後には、1週目に審査が行われるコンゴ民主主義共和国、ネパール、ベラルーシ、ルクセンブルクに関するNGOおよび国内人権機関の発言者と委員会との間で、非公式公開ミーティングが開かれ、これらの国における女性の人権状況に関して報告と質疑が行われました。委員会はまた、ビジネスと人権に関する作業部会、市民社会およびビジネスセクターの代表者たちと、「デジタル化における、賢く、性差別がなく、権利に焦点を当てたアプローチによる底上げ」に関する非公式ミーティングを開催しました。ミーティングでは、民間部門、特に技術分野における女性差別を防止するための措置、女性の科学・技術・工学・数学教育(STEM教育)へのアクセスを促進するための措置、人工知能が女性に与える影響に対処するための措置、エネルギー転換期における女性の権利を守るための措置などのテーマについて話し合われました。
NGOの発言
コンゴ民主主義共和国
NGO発言者は、避難民に対する暴力が増えており、特にジェンダーに基づく暴力が横行する中、サバイバーは司法へのアクセスが限られていると述べた。また、避難民の女性は生殖に関する保健(リプロダクティブヘルス)にアクセスができず、安全でない環境で出産している。 避難民の女性や女児が直面する経済的苦境も深刻で、 生計手段が限られているため、生き延びるために売春をし、性的搾取や虐待にさらされている人も多い。
ネパール
NGO発言者は、しっかりした反差別法がなく、女性の権利がより侵害されやすくなっていることを指摘し、政府は女性に対する差別を犯罪化し、差別的な法的規定をすべて撤廃するべきであると述べた。政府はまた、女性の権利に取り組む公的機関に十分な人的および財政的資源を割り当て、暴力の被害女性に適切な支援を提供する必要がある。ネパールの女性人口の15%が複合差別に直面しており、多くの女性が社会的排除や暴力にあっている。司法機関への信頼の欠如から、犯罪を報告しない女性たちもいる。
政府は、先住民女性に対する歴史的な差別に対処し、先住民の慣習法を認めるよう憲法を改正する必要がある。 また、障がい者の権利に関する法律を改正し、障がいのある先住民女性の権利に取り組む必要がある。
ネパールは、国際組織犯罪防止条約の人身取引に関する議定書(パレルモ議定書)を批准しておらず、人身取引とセックスワークを同一のものとして扱っているため、セックスワーカーはさまざまな形態の差別や暴力に直面している。
レズビアン、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックスの女児が有害な扱いや暴力、教育や医療における制度的な差別を受けている。しかし、政府はそれに対して何もしてこなかった。 政府は、このような女性が単身女性手当を利用できるようにし、ジェンダー・フリーの用語を含むように結婚を再定義し、このグループの権利へのアクセスを支援する必要がある。
政治プロセスへの女性の意味ある参加は欠如しており、多くの女性政治家が暴力に直面している。ネパールは、周縁化された女性に対する歴史的な暴力を調査し、女性に関する細分化された詳細なデータを収集し、女性の指導力を強化し、周縁化された女性と女児に対する差別をなくすための措置を講じ、すべての女性と女児、特に先住民族の女性に、最小限の費用で質の高い医療サービスを提供する必要がある。
ベラルーシ
NGO発言者は、憲法は差別に対する効果的な保護を提供していないと述べた。教育と医療に対する女性の権利は制限されている。ベラルーシは差別的な食糧供給が制度化されており、女性や女児は果物やナッツを入手できず、長期的な健康リスクにつながっている。
女性の司法へのアクセスは、女性人権擁護者に対する執拗な迫害によって損なわれている。 女性活動家は、平和的な行動にもかかわらず、テロリストという誤ったレッテルを貼られ、女性支援団体を含むさまざまな市民団体が解散させられた。 約2000の非政府組織が活動を停止させられ、前回審査でNGOレポートを提出した女性団体はすべて解散させられた。しかし、弁護士に対する政治的弾圧のため、法的支援を得ることは非常に困難であった。 2022年、政府はすべての労働組合を強制的に解散させ、現在も6人の女性労組活動家が刑務所に拘留されている。
ルクセンブルク
ルクセンブルグの女性の現状を話すNGOの参加はなかった。国内人権機関の発言者は、 国の政策は‘中立’に重きを置いているが、ジェンダーには敏感でない。政治家は全体を覆う家父長的な支配を率直に認め、その撤廃を優先課題とするよう促した。 そのために、すべての政策において横断的にジェンダー主流化の原則を実施することが不可欠であると述べた。
ルクセンブルグの平等への取り組みは交差的なアプローチを欠いており、政府は交差する形態の差別にほとんど取り組んでいない。 「女・男平等のための国家行動計画」では、障がいの側面が欠落しており、「障がいに関する国家行動計画」では、ジェンダーの側面が軽視されている。 女性が直面するさまざまな形態の差別をよりよく理解し、対処するためには、性別、年齢、民族、障がい、教育レベル別に細分化された詳細なデータが不可欠である。 政府は、ジェンダー平等と女性差別との闘いにおいて、企業、自治体、行政に具体的な行動を課す必要がある。
*今会期から委員構成がかわり、Nahla Haider が委員長に選出され、8人の新しいメンバーが迎えられた。委員構成はこちら
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ブリーフィングの模様はUN WebTVより視聴可能です。