2024.04.12

人権理事会55会期(2/26- 4/5)IMADR要約レポート

国連人権理事会(2024年2月26日に開会)は、32本の決議と2本の決定を採択し、4月5日に閉会しました。IMADRの活動内容とかかわりのあるものを中心に、決議の一部を紹介します。

ベラルーシの人権状況に関して3人の独立専門家から成るグループを緊急に設置し、11 の国別マンデート(責務)及び 4つのテーマ別マンデートの任期を延長しました。

♦食糧の権利に関する決議では、食糧の権利に関する特別報告者のマンデートの効果的な履行に必要な全ての資源を引き続き提供するよう要求し、特別報告者に対し、マンデートの履行に関して毎年報告するよう要請しました。

障がい者のコミュニティ包摂を確保するためのサポートシステムに関する決議では、障がい者とその代表組織、関連する国連機関やその他のステークホルダーと協議し、積極的な関与と参加を確保したうえで、全ての理事会決議をアクセス可能にするために必要な事務手続き及び予算を決める調査をし、第59会期で理事会に提出するよう要請しました。

労働の権利に関する決議で、第58会期中に、持続可能で包摂的な経済という文脈で、インフォーマルセクターにおける労働の権利及び社会保障の権利の実現に関するパネルディスカッションを開催することを決定しました。また、関連する国連機関や基金、プログラム、その他のステークホルダーに対し、パネルディスカッションに積極的に貢献するよう呼びかけました。

適切な生活水準の権利の構成要素としての適切な住居の権利、及びこの文脈における無差別の権利に関する決議で、国家に、公的私的領域関係なく、障がい者に対する差別を含むあらゆる形態の差別を禁止するよう求めました。

拷問及び他の残虐な、非人道的又は品位を傷つける扱い又は刑罰:拷問行為を防止するための効果的な国内立法、行政、司法その他の措置に関する決議で、各国に対し、拘禁場所や国の管轄・監視下にあり、自由を奪われている又は奪われる可能性のある場所への監視訪問を実施するために、独立し効果的なメカニズムの設置、任命、維持または強化を検討するよう促しました。

インターセックスの人びとに対する差別、暴力及び有害な慣行との闘いに関する決議では、人権高等弁務官事務所に対し、第60会期で発表できるよう報告書を作成し、生来の性徴に差異がある人びとに対する差別的な法律や政策、暴力行為や有害な慣行について検討するよう要請しました。

民族的又は種族的、宗教的及び言語的マイノリティに属する人びとの権利に関する決議では、種族的、宗教的、言語的マイノリティに属する人びとの権利宣言やその他の国際人権誓約に規定されている自分たちの権利を行使できるようにするため、イニシアティブをとることを各国に要請しました。

宗教や信仰の自由に関する決議では、各国に対し、思想、良心及び宗教又は信仰の自由を促進し、守るための努力を強化することを求めました。

人権と平和の文化に関する決議では、人権高等弁務官事務所に対し、ジュネーブで人権と平和の文化に関する半日のワークショップを2日間開催することを要求しました。

子どもの権利:子どもの権利の実現と包括的な社会保障に関する決議では、事務総長のガイダンスノートを含む国連全体における子どもの権利の主流化に関する報告書を作成し、第59会期で提出するよう人権高等弁務官に要請しました。

朝鮮民主主義人民共和国の人権状況に関する決議では、人権状況に関する特別報告者のマンデートを1年間延長することを決定しました。

パレスチナ人の自決権に関する決議では、すべての国に対しパレスチナ人の自決権の実現を促進するために必要な措置を採択するよう要請しました。

占領下のシリアのゴラン高原での人権に関する決議では、事務総長に対し、全ての政府、所轄の国連機関、専門機関、国際及び地域政府間組織、国際人道組織に本決議案への注意喚起をし、可能な限り広く普及させ、この問題を第58会期で報告するよう要請しました。

東エルサレムを含むパレスチナ占領地及び占領下のシリアのゴラン高原におけるイスラエル入植に関する決議では、東エルサレムを含むパレスチナ占領地及びイスラエルに関する独立国際調査委員会に対し、パレスチナ市民に対するテロ行為、暴力行為、脅迫行為に関与した入植者の身元と、イスラエル及び第三国がとった行動に関する報告書を作成し、第59会期で提出するよう求めました。

ハイチの人権状況を改善するための技術支援と能力構築に関する決議では、協調的かつ焦点を絞った国際的行動を求めるハイチ当局の要請に関連し、人権高等弁務官によって任命された独立人権専門家のマンデートを1年間延長することを決定しました。

*人権理事会の運営に関して:人権理事会は、今後のすべての理事会の公式・非公式の会合にリモート参加方式を継続して使用することを総会が協議のうえ承認するよう要請することを決定しました。

*全文(英語)はこちらよりご覧いただけます。

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