2008年5月、国際政治の舞台で日本の人権状況が審査されるという新たな画期的機会が訪れました。すべての国連加盟国がたがいに各国の人権状況を審査する「普遍的定期審査」(UPR)制度が、国連人権理事会に新設され、そのもとで日本が審査されたのです。
本書は、UPR制度の特性や国連の人権保障システム全体の中での意義を分析し、日本審査の流れを追うとともに、その過程でのNGOのかかわりを検証します。それにより、この制度を草の根の人権活動がどのように活用できるかを探り、今後の審査に日本の市民社会が効果的に参画するためのツールとなることを目指します。また、他国審査の例も掲載し、関連する国連文書や、日本審査に際してのNGO活動に関連する文書を網羅し、充実した資料を掲載しています。
目次
- Ⅰ人権理事会の普遍的定期審査(UPR)制度―発足と現状 ピーター・N・プルーブ
- Ⅱ 普遍的定期審査(UPR)による日本審査の意義と課題 森原秀樹
- Ⅲ 経験から教訓へ―インド、スリランカ、日本の普遍的定期審査とNGOのロビー活動 ジョージナ・スティーブンス
- Ⅳ ドキュメント 「慰安婦」問題ロビイングの実際 渡辺美奈
- Ⅴ 他国審査の例―NGOのロビー活動を中心に
- V-1 アジアにおける普遍的定期審査―新たな希望になるのか? マイケル・アンソニー
- V-2普遍的定期審査とカースト差別 ギッテ・ダイラーゲン
- V-3いまだ「判定」の出ない普遍的定期審査-2008年5月、前途洋々とは言えない インドのUPR ブリンダ・グローバー
資料編
1.UPR日本審査に際してのNGO活動関連文書
- 国連人権理事会 普遍的定期審査(UPR):日本審査とNGOの関わりについて
- 日本の一般的人権状況について(国際人権NGOネットワーク等によるUPR情報提供文書)
- UPR作業部会による勧告を受けた日本政府への共同申し入れ書
2.UPR日本審査に関する国連文書
- UPR(普遍的・定期的レビュー)日本政府報告(仮訳)
- 国連情報要約文書
- NGO情報集約文書
- UPR審査に先立ち日本政府に対して出された各国からの質問事項
- 普遍的定期的審査(UPR)作業部会報告書 日本
- UPR日本審査において提示された勧告に対する日本政府の回答