ダリットを知る

「持続可能な開発」のかけ声のもと世界ではさまざまな未来が描かれている。大きく変化する世界にあって、最も周縁化されたコミュニティである南アジアのダリットは、数十世紀にわたり頑強に維持されてきたカースト制度の枷と、急速な発展がもたらした現代世界の矛盾の狭間に置かれている。ダリットにとっての持続可能な開発は、ネグレクトされてきた自分たちの存在が可視化され、社会の営みにおける平等な参加と包摂が保障されることだ。

日本ではダリットについてほとんど知られていない。カースト制度のもとでのアンタッチャブルだと言えば少しは分かってもらえる。インドを中心に南アジアには約2億人のダリットが暮らしている。生きる権利も含め、基本的人権を脅かされながら。地球はますます狭くなり、人と物の往来はさらに激しくなった。アジアに関心をもち、コミットする人が日本でも増えた。この地球上で同じ時代を生き、未来を分かち合うダリットについて、そして彼・彼女たちが直面する世系に基づく差別について知ってもらい、問題を共有してもらいたい、そう願ってこのハンドブックを作成した。

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