「テロとの戦い」「国際犯罪組織の撲滅」のかけ声のもと、治安強化と監視の波が世界規模で広がっています。そのようななか、マジョリティ市民の安全を守る名目で、マイノリティが平和的に安全に生活する権利が脅かされています。
この構造を克服し、マイノリティとマジョリティ市民が連帯して共通の安全を求めていくために何をすべきか。本書はその答えを探るべく行われた、日本・韓国・フィリピン3カ国の国際比較研究です。IMADRの人身売買撤廃活動の一翼を担った「人間の安全保障と搾取的移住労働」研究会の報告書に、一定の編集を加えて収録しました。
日本の性産業へと人身売買された女性たち、在韓米軍基地そばの歓楽街の女性たち、対テロ戦争の舞台であるフィリピン南部の先住民族。彼女/彼らが、犯罪組織や軍隊、警察、出入国管理当局の板挟みになりながら直面する不安全の諸相が浮き彫りになります。