本の紹介 NGOが出したブックレットの紹介

IMADR通信219号 2024/8/8発行

 

『優生思想をほぐす』

「優生思想をほぐす」実行委員会
(2023 年4月、「優生思想をほぐす」実行委員会)
500 円+税 視覚障害者向けテキストデータあり
購入希望者は以下のメールアドレスまで
kazuko-s@white.plala.or.jp

2021年7月から2022年6月の間、4回にわたりオンラインで開催された優生思想についての「おしゃべり会」の内容をまとめたものである。
「2016年7月の相模原障害者殺傷事件や、2018年1月から全国各地で始まった旧優生保護法被害国賠訴訟をきっかけに、マスコミ等でも、なくすべきもの、乗り越えるべきものとして『優生思想』という言葉が登場するようになってきました。一方、ちょうど同じ時期にNIPT(新型出生前検査)をはじめとする出生前検査や着床検査がどんどん普及・拡大しはじめ、結果として、障害や病のある“いのち”の排除が急速に進行しています。後押ししているのが、妊婦やカップルの「ニーズ」や「自己決定権の尊重」を前面に押し出すことで、「命の選別」という倫理的・社会的問題を不問に付そうという流れです。さらには、出生前検査の商業利用が、これに拍車をかけています」
実行委員会の一人、利光恵子さん(グループ生殖医療と差別)は、「はじめに」のところでこのように記した。

本書は次の4部よりなる:
Part 1 出生前検査と着床前検査
Part 2 「障害ある・なし」と「ジェンダー」と「産む・産まない」
Part 3 がっこうの中の優生思想
Part 4 障害があっても地域で暮らす
おしゃべり参加者発言(各回での発言の切り抜き)

驚くことに、今、「出生前診断」で検索をかけると医療機関を中心に半端ではない件数がヒットされる。冊子に登場する障害当事者たちの声は、「命の選別」に対する警鐘である。

 


 

日本における外国人・民族的マイノリティ人権白書 2024年版

外国人人権法連絡会
(2024 年3月、外国人人権法連絡会)
1,000円(送料込)

外国人・民族的マイノリティ人権白書

これは外国人人権法連絡会が2006年から毎年発行してきた文字通りの「人権白書」である。国の「外国人」政策と現場で起きているさまざまな事象とそれがもたらす人権問題を、縦横につなぎ、重ね合わせながら読みとることができる貴重な資料である。IMADRも「国際人権基準とマイノリティの権利」の章の編集に10数年協力している。

第1章 関東大震災「虐殺」から100年
第2章 ヘイトクライム・人種差別
第3章 “先進国”日本の外国人管理体制
第4章 転換期を迎えた移住労働者たち
第5章 移民女性の権利
第6章 マイノリティの子どもたちの権利
第7章 外国人住民の生存権
第8章 国際人権基準とマイノリティの権利
第9章 日本の歴史責任と在日コリアン

延べ54人が記事を寄稿しており、付録には、在日外国人の人口動態、主要な国際人権条約、オンラインヘイトスピーチガイドラインなど貴重な資料が含まれている。購入は同会のウェブサイト(https://gjhr.net/hakusho/)より注文ができる。また、一部の年を除き、バックナンバーも購入できる。