報告 IMADR 第36回総会・記念講演を開催

IMADR通信219号 2024/8/8発行

 

2024年6月11日、日比谷図書文化館コンベンションホールにて第36回総会を開催した。全国から88名の会員が集まった。
昨年10月から続くガザ地区での戦闘や2022年から続くウクライナ侵攻など、世界では紛争が増えている。組坂繁之共同代表理事は、「戦争は最大の人権侵害である」「平和なくして人権なし、人権無くして平和なし」と力を込めて語った。

 

2023年活動報告
2023年度の活動について、小森事務局長代行は「ダリット・部落差別の撤廃」、「人種差別撤廃」、「マイノリティの権利・国連」、「啓発・出版・広報活動」の4つのキーワードを挙げて報告した。「ダリット・部落差別の撤廃」では、衡平社創設から100年を記念して学習会を行った。また、IDSN(International Dalit Solidarity Network)の協力のもと、ヨーロッパ議会の報告書で初めて「部落差別」について取り上げられた。「人種差別撤廃」のためにも必要な包括的反差別法制定に向けての「包括的反差別制定のための実践ガイド」の日本語版を作成した。国連ビジネスと人権作業部会が日本調査を行った際に、「マイノリティの権利」に関して情報提供を行った。従来から続けてきた「啓発・出版・広報活動」に加え、SNSやHPなどオンライン上での情報発信にも力を入れた。

 

2024年活動計画
包括的反差別法や国内人権機関の必要性は日本においても明確である。IMADRは現在、昨年翻訳した実践ガイドをより多くの人に知ってもらうため、ワークショップを開催している。また、子どものための人種差別撤廃条約の絵本、人種差別撤廃条約のガイドブック改訂版も作成中である。さらに他団体とのネットワークを強化し、今まで取り組んできた問題への新たなアプローチなども2024年度の活動の中で行っていきたい。

 

金子マーティンさんの記念講演
総会の後、記念講演として、IMADR事務局次長で日本女子大学名誉教授の金子マーティンさんが「ホロコーストとモンゴ・シュトイカーの詩」のタイトルで報告を行った。シュトイカー家を例に、一人ひとりに焦点を当てながら、ロマがどのような扱いをうけてきて、現在まで続いてきたのか。現代の社会構造にもつながる歴史、示唆に富む話を聞くことができた。

 

(報告:IMADR事務局)