2023年12月13日(水)、世界人権宣言75周年記念集会—包括的反差別法の実現をめざして『市民社会はなぜ包括的反差別法を必要としているのか』を、参議院議員会館101会議室にて開催した。共催団体は、反差別国際運動(IMADR)、WAN(ウィメンズアクションネットワーク)、LGBT法連合会、外国人人権法連絡会、市民外交センター、女性差別撤廃条約実現アクション、人種差別撤廃NGOネットワーク、DPI女性障害者ネットワーク、DPI日本会議、ヒューマンライツ・ナウ、部落解放同盟中央本部。
また、24団体に賛同団体として支持をえた。
当日は、会場・オンラインを合わせて162人、そして国会議員・秘書13人に参加をいただいた。
共催団体を代表して、林陽子さん(弁護士、IMADR実践ガイド日本語版作成チーム代表)が開会挨拶をおこなった後、連帯のメッセージとしてOHCHR(国連人権高等弁務官事務所)から届いたビデオメッセージを上映した。
続いて、フィリピンのSTD連合(Stop the Discrimination Coalition)からギング・クリストバル(Ging Cristobal)さん、反差別法制定韓国連合からリュ・ミネ(Ryu Minhee)さんにご登壇いただいた。
クリストバルさんは、STD連合の取り組みについて述べた上で、差別は常に交差的であり誰もが差別を経験しうることを強調し、包括的反差別法はすべての個人に対する公正かつ平等な取り扱いを確保するための基盤となると語った。
リュさんは、韓国においても包括的反差別法の制定の道のりは険しい、としながらも、最近の世論調査では67%〜80%を超える支持があること、2021年には10万人が署名した嘆願書が提出されたことなど、市民社会の認識は高まりつつあると述べた。また、韓国と日本は同じような社会的規範と政治的課題に取り組んでいるとも語り、互いの経験から学び、支え合いながら、アジアをそして世界を、より大きな平等に向かって押し上げていきたいとした。
基調報告として内藤忍さん(労働政策研究・研修機構)から、イギリスの平等法について、その成立の背景や特徴を報告いただいた。内藤さんは、平等法制定の動きが高まった当時のイギリスの状況と比較しても、現在の日本の制度は極めて不十分で、困難な状況にあるとし、国の内外を問わず、さまざまなアクターと連携して取り組んでいく必要があると語った。
その後、共催団体のリレートークに移り、三浦まりさん(WAN)、西山朗さん(LGBT法連合会)、師岡康子さん(外国人人権法連絡会)、浅倉むつ子さん(女性差別撤廃条約実現アクション)、佐藤信行さん(人種差別撤廃NGOネットワーク)、藤原久美子さん(DPI女性障害者ネットワーク)、白井誠一郎さん(DPI日本会議)、小川隆太郎さん(ヒューマンライツ・ナウ)、和田献一さん(部落解放同盟中央本部)、小森恵(IMADR)がそれぞれメッセージを述べた。個別の課題に取り組んでいるからこそ見えてくる包括的反差別法の必要性が口々に語られた重要な機会だった。
現在の日本では、さまざまなマイノリティが差別の被害を受け、複合的・交差的に周縁化されている。この状況を変え、あらゆる人の権利と尊厳が保障される社会、差別のない社会を実現するために、包括的反差別法の制定は不可欠であることを改めて確認する集会となった。
IMADRは今後もさまざまな団体と連帯、協力しながら、包括的反差別法の実現をめざして活動を進めていく。
(IMADR事務局)