「ヘイトスピーチ、許さない。」賛同署名を提出

前号でもお伝えした通り、IMADRはマイノリティ女性フォーラム、人種差別撤廃NGOネットワークとともに、「ヘイトスピーチ、許さない。」〜杉田水脈議員に謝罪を求めます!という署名キャンペーンを実施した。集まった署名を、2月7日、法務省人権擁護局を訪問して直接手渡し、その後、記者会見を行った。

 

法務省に署名を提出
法務省人権擁護局長代理との30分間の面談には、在日コリアン女性、アイヌ女性、元参議院議員糸数慶子さんたち、杉田水脈議員のブログで直接ヘイトスピーチを向けられた被害者と、古くからマイノリティ女性の問題に関わっている福島みずほ参議院議員、そして主催団体から師岡康子弁護士(外国人人権法連絡会)と小森恵(IMADR)が参加した。
杉田水脈議員によるブログ記事をヘイトスピーチと認めるよう求める要請文を、154の団体賛同署名・52,665筆の個人賛同署名とともに手渡した。所用で不在の鎌田人権擁護局長を代理して杉浦総務課長は、「名実ともに重いものだと受け止めている」と述べた。杉田水脈議員のブログ記事がヘイトスピーチに該当するか否かという点については、昨年の参議院予算委員会等において繰り返された政府側の答弁の域を出ること(明確な答え)はなかった。

 

記者会見を開催
その後の記者会見には、17人の報道関係者が参加した。
糸数慶子さんは「当時のことを思い出すと今でも頭に血がのぼる。その時は、議員として参加していたので琉装ではなかったが、もし私も民族衣装を着ていたら同じように嘲笑されたのだろう」と語った。
アイヌ女性は、「こういう場に立つのは初めて」と前置きした上で、自身は杉田水脈議員が「薄汚い」と表現したアイヌの民族衣装を製作しており、「民族衣装はフチ(おばあさん)から受け継いだもの。伝統に誇りを持って仕事をしているが、それを傷つけられた。到底許せない」とその心中を明らかにした。
在日コリアン女性は、当時、沈黙せざるを得なかった理由として「告発することでさらなるヘイトスピーチが向けられるのではないか」と恐怖を感じていたことを挙げた。今回この場に立てたのは、「周囲の人びとの支えがあったから」、そしてこの問題が国会で取り上げられたことも大きかったと述べた。また、在日コリアンに対する差別や複合差別についてメディアはほとんど取り上げないと指摘。「若者を中心に韓国文化への興味が高まっているが、在日のことについては何も知らない人もいる。」とし、より積極的な報道を求めた。最後に、「今の大阪では、チマチョゴリを着て電車に乗ることはできない。私たちの子どもが、安心して民族服を着られる社会を一緒につくって欲しい」と語った。
福島みずほ参議院議員は、被害を受けた女性たちが7年間の沈黙を強いられたことについて、「差別に対抗することがより大きな差別を呼び寄せてしまう日本社会の問題だ」と指摘し、「国会、政治が変わること、包括的な差別禁止法が必要なことを痛感している。差別の撤廃に向けて頑張りたい」と語った。
記者会見には、石川大我参議院議員(立憲民主党)、高良鉄美参議院議員(沖縄の風)も参加した。

 

●IMADR事務局