濱田 すみれ
女性差別撤廃条約実現アクション世話人
日本は未批准の選択議定書
1979年に国連総会で採択された「女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」(以下、女性差別撤廃条約)を日本は1985年に批准した。本条約は、あらゆる分野において女性が性に基づく差別を受けない権利を定義し保障している。
1999年には、本条約の実効性を強化するために「選択議定書」が採択された。選択議定書には「個人通報制度」と「調査制度」の2つの制度がある。個人通報制度は、条約で保障された権利が侵害されたとき、国内裁判所による救済手続きが尽くされた後、女性差別撤廃委員会へ直接、通報し救済を求められる制度だ。死亡したり、未成年であったりして、本人の申し立てが難しい場合は、代理人が通報することも可能となっている。調査制度は、女性差別撤廃委員会が、女性差別撤廃条約に定める権利の重大または組織的な侵害があるという信頼できる情報を得たときには、当該国の協力のもとで調査し、国に調査結果と意見・勧告を送るという手続きだ。すでに世界114か国がこの選択議定書を批准しているが、日本は批准していない(2020年8月現在)。
OP-CEDAWアクションの取り組み
2019年3月、女性差別撤廃条約の社会的理解を深め、日本政府に対し選択議定書の批准を求める共同行動「女性差別撤廃条約実現アクション」(通称:OP-CEDAWアクション)が立ち上がった。現在、全国53団体が参加し、集会や勉強会の開催、関連情報の発信、議員へのロビー活動等に取り組んでいる。
私は、OP-CEDAWアクションの取り組みを通して、女性差別撤廃条約の意義や選択議定書の存在自体が日本社会に十分に浸透していないことを感じてきた。まずはこの条約がどのように私たちの暮らしと関係しているのか、そして、選択議定書を批准するとどんな変化が期待できるのかを知ってもらう必要がある。そこで、この共同行動に関わる若い世代が中心となり、SNSでの発信をはじめた。現在は「#批准で平等」をつけてSNSに投稿するハッシュタグアクションを呼びかけている。また、YouTubeチャンネルも開設した。イラストを使用した解説動画やアクション・メンバーへのインタビュー動画などを撮影・編集し、公開している。
2020年6月からはオンライン署名も始まった。この取り組みも、これまでこの問題に関心のなかった層へ届けたい、という思いから始めた新たな挑戦だ。オンライン署名はテーマによっては数日間で1万人以上の賛同を得ることもあるが、残念ながら女性差別撤廃条約選択議定書についてはよく知らない人が多いため、少しずつ集めていくしかない。まずは「知ってもらうこと」を目標に、動画や解説リーフレットの内容等を紹介しながら、オンライン署名につなげる工夫をしている。
現在、コロナ禍でオンラインの勉強会や集会が増えている。私たちも毎月の会議をオンラインで開催しているが、対面では参加できなかった全国のメンバーが参加できるため、議論も活発になり、さらにパワーアップしていることを実感する。全国の地方議会では選択議定書の批准を求める意見書が次々と採択されている。こうした動きを加速させ、一日でも早く女性差別撤廃条約選択議定書が批准されるよう運動を進めていきたい。
動画「【2分でわかる】女性差別撤廃条約「選択議定書」ってなに?」
OP-CEDAWアクションの最新情報は以下からチェックを。
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