人種差別撤廃と韓国NGOとの交流

小森 恵
IMADR事務局長代行

2019年5月31日、韓国のNGOと人種差別撤廃NGOネットワーク(ERDネット、事務局IMADR)の有志の間で交流の機会をもった。韓国のNGOからの7人は、翌6月1日と2日に東京で開かれた移住者と連帯する全国フォーラムへの参加が目的で来日した。7人の構成は多様で、2人は外国人勤労者センターのソク・ウォンジュンさんと韓国移住者連合のイ・ワンさんで、5人はフィリピン、ミャンマー、ベトナム、ネパール、そしてモンゴルから韓国に移住して、移住者の権利や福利のために活動をしている人たちだった。昨年12月、人種差別撤廃委員会(CERD)による韓国審査があり、韓国のNGOや弁護士会が連携して審査に関わった。韓国NGOのCERD審査での活動に関心がある私たちは、この機会を利用して交流することを求めた。日本でERDネットが行ってきたように、韓国でもNGOが連携してレポートの作成、審査への代表派遣、そして勧告実施を求める国内でのロビー活動を行った。交流会ではこれら活動について相互に情報交換をすることができた。

近年、外国人労働者や移住者の人口が急増した韓国において、人種差別の問題の多くは、これら移住者、難民、人身取引の被害者などに関わるものだ。CERDが出した韓国政府に対する勧告を問題別に見れば、ヘイトスピーチ、労働者の権利、難民申請、在留資格、女性への暴力、社会保障、教育などに関するもので、日本と類似していることが分かる。しかし、日本とは異なり、盧武鉉大統領の時代に多文化政策を打ち立て、外国人労働者や結婚移民などの人権に関する法律が作られてきた韓国において、これら問題の対処で求められるのは、現行の法律や制度の実施や拡充、さらには差別を助長する既存の法律の廃止や改正のようだ。一方、日本では労働力不足を解消するための法改正が行われたが、生活者としての移住者の人権を保障する法律や制度はない。また、日本には被差別部落、先住民族であるアイヌ民族と琉球・沖縄の人びと、そして在日コリアンなど旧植民地出身者に対する差別の問題があり、これら歴史的で構造的な問題についても、差別撤廃の観点からの法的及び制度上の抜本的な取り組みは進んでいない。

CERD審査に向けて提出された「韓国NGO連合」の包括的なレポートのなかに、韓国におけるレイシズムを論じた章がある。一部抜粋して要約紹介したい。『韓国社会はアメリカと西洋の見方を疑うことなく受け入れることにより、白人男性を羨望するようになった。この切望は「私たちも白人になりたい」という思考につながり、ついには「私たちは白人である」という準白人意識となる。、、、、』と分析し、『韓国の人種差別は二つのタイプに分類される。最初のタイプは例えばアフリカや東南アジアにルーツを持つ人びとなど、平均的な韓国人よりも濃い肌の色をした人びとに対するものである。これは肌の色という身体的特徴に基づいた西洋のレイシズムの延長である。二つ目は、外見上は同じ特徴をもつアジア人に対する差別を含むものだ。この種の差別は中国人やモンゴル人、中国系朝鮮族や脱北者に向けられている。この差別はナショナリズムや民族差別に基づくものとして説明する方がよい。しかし、劣った存在として定義することで特定の集団を差別するという点において人種差別である。』
『韓国における現在の人種差別は、市民ではなく白人でもない人びとへの差別という形で現れている。これらの人びとに対する差別は、市民権、在留資格あるいは社会階級に関係しており、その根底には韓国民よりも劣っているという考え方があり、それゆえ人種差別の特徴を有しているということを見過ごすべきではない。』としている。朝鮮戦争を挟んで今も存在する在韓米軍の影響を感じさせる。一方、交流会で出会ったように、移住者コミュニティの発展もめざましく、5人は流暢な韓国語でそれぞれの活動について紹介をした。
人種差別撤廃条約という国際人権基準を要に、韓国のNGOとつながることの意義を考えた集いとなった。

IMADR
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