国連勧告に逆らい、日本政府の差別を是認した 大阪高裁不当判決に抗議する

朴金優綺
在日本朝鮮人人権協会事務局

2018年8月30日、国連人種差別撤廃委員会は第4回日本審査に関する総括所見において、次のように勧告した。

「委員会は、コリアンの生徒たちが差別なく平等な教育機会を持つことを確保するために、高校就学支援金制度の支援金支給において「朝鮮学校」が差別されないことを締約国が確保するという前回の勧告 (CERD/C/JPN/CO/7-9, para. 19) を再度表明する。」(パラ22)

上記で「前回の勧告」と述べられているように、同委員会は、2014年の審査総括所見で、日本政府が朝鮮学校に「高校無償化」制度を適用するよう強く勧告した。周知のように、朝鮮高校の生徒たちは同制度の開始(2010年)以降、中華学校やアメリカンスクールなど他の外国人学校の生徒たちには同制度が適用される一方で、「拉致問題の進展がない」ことなどを理由に日本政府によって同制度の適用を受けられないままであり、同委員会は日本政府によるこの行為を人種差別的な行為だと判断したのである。したがって、同委員会は今回の審査でも、前回勧告に従わず朝鮮学校除外を続ける日本政府に対して、同趣旨の勧告を「再度表明」したのであった。

 

「私の存在を否定するような判決」

この勧告から1ヶ月も経たない9月27日、大阪高裁は、「高校無償化」制度の適用を求める大阪朝鮮学園の訴えを却下する判決を出した。現在、大阪・愛知・広島・福岡・東京の5カ所で、朝鮮学校や朝鮮学校卒業生が原告となり日本政府を相手に裁判をたたかっているところ、大阪地裁は、福岡を除いて1審判決が出された4カ所のうち、日本政府の除外行為を違法・無効とし、朝鮮学校側の訴えを全面的に認める判決を出した唯一の裁判所であった。大阪高裁は、国連勧告に真っ向から逆らい、法と正義にかなった大阪地裁の判決をも取り消すという、前代未聞の破廉恥な判断を出したのである。

大阪高裁の不当判決を受けて、朝鮮学校の生徒や保護者たちは、行き場のない怒りと悔しさを次々に吐露していた。判決日に行われた報告集会では、大阪朝鮮高校の生徒が涙ながらにこう訴えた。

「約12年通ってきたウリハッキョ(*1)が、民族教育を通じて学んできたことが、在日朝鮮人という自分の存在が、否定されたような気がして、悔しくて、悔しくて、たまりません」

日本政府による度重なる朝鮮学校弾圧と、朝鮮人へのヘイトスピーチが吹き荒れる日本社会の中でも、在日朝鮮人であるという民族的アイデンティティを肯定的に育むことのできる場である朝鮮学校の存在意義と、自らの尊厳をもかけた朝鮮学校生徒たちの思いを、冷笑するかのごとく踏みにじった大阪高裁の判断を、断じて許すことはできない。

今こそ、日本の行政と司法による朝鮮学校生徒たちへの差別を、世界に向けて伝えるべきときではないか――そう思うといても立ってもいられず、「高校無償化」問題についての3種類(①日本政府の主張と国連勧告 ②#大阪高裁不当判決反対 ③#東京「無償化」裁判必勝)のフライヤーを英語・朝鮮語・日本語で作成し、SNS上でハッシュタグをつけて発信した。みなさまにもご自由にご活用いただき、ぜひとも共に声を上げていただきたい。

(*1)朝鮮語で「私たちの学校」の意