IMADR国際人権プログラムの新しい顔

白根大輔(国際プログラム上級アドバイザー)


 

2013年にIMADRジュネーブ事務所を出たのち、Centre for Civil and Political Rights(CCPRセンター)のアジア太平洋コーディネーターとしてインドネシアへ赴きました。国連自由権規約に焦点をおいたCCPRセンターでの仕事を行う中でも、やはりマイノリティや先住民族の権利、差別という問題は常に私の活動の中心にあり、IMADRで得た経験は貴重な資源となりました。あれから9年、タイのチェンマイに基盤を移し、CCPRセンターでの任務は今も継続しています。また2015年からはインド南部、タミール・ナドゥ州の農村部を中心に、特に社会的に脆弱な立場に置かれた女性や子どもたちの自立支援をする活動も行っています。

 

これらの任務・活動と並行する形で、今回、国際プログラムシニアアドバイザーとしてIMADRに戻ってきました。自分自身、少しでも成長できたと思っていますし、これまで培った全てを活用し、改めてIMADRの活動、そして何よりも、つながる草の根の当事者とその運動に貢献したいと思っています。

 

国連人権機関や国際法の活用を行っていく上では、IMADRジュネーブ事務所にいた当時から、現場の当事者との顔の見えるつながりや彼女、彼らに還元できる取り組みを心掛けてきました。あちこちの現場で根深くはびこる差別や人権の問題は一朝一夕に解決できるものではありませんし、国際的な取り組みが常に役立つわけでもありません。壁だらけの状況で何をしていいのか、何ができるのかわからない時もあります。それでも現場の当事者と一緒に悩み、考えることはできます。そのようにしながら、できることを一つひとつ、ゆっくりとでも確実な一歩を踏みながら、それぞれの問題に対する答えや解決を当事者自身が見つける手助けをできると信じています。

 

●しらね だいすけ

 

波多野綾子(国際人権上級アドバイザー)


 

こんにちは、このたび、ジュネーブでの人権理事会を中心にIMADRのミッション実現に向けてお仕事をさせていただくご縁をいただきました。

 

IMADRとのご縁は2015年原田伴彦記念基金国際人権人材養成派遣事業へ参加させていただいたことに始まります。同事業では、2016年2月の国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)の日本審査を中心に、事前準備やジュネーブでの会期への参加、また事後のまとめなどに従事させていただきました。国際人権がマイノリティ女性の一人ひとりの現実の生活の中でどのようなインパクトをもっているのか、国際人権基準と現実のギャップはどこにあり、それをどのように委員をはじめとした国際人権の専門家、また政府に伝えていくのか、IMADRの事業の複雑さ、難しさ、そしてその醍醐味にも触れ、現在にもつながる実践的な学びと経験をいただきました。

 

ジュネーブでの国際機関職務などを経て、現在はオックスフォード大学で国際人権法の研究を行っております。特に、国際的な人権規範がどのように内面化していくのか、国際人権メカニズムの中でNGOをはじめとする多様なアクターの役割や複合差別の問題に注目してそのプロセスの分析をしていきたいと考えています。

 

直近では、国連人権理事会48会期(2022年3月29日~4月1日)において、改めて人権メカニズムを取巻く市民社会の活発な動きと熱を肌で感じ、NGOで人権アドボカシーに効果的に取り組むために学ぶことが多いと感じています。人種差別とレイシズムの関係でのコミットメントに基づく深い知識、他国の市民団体との広いつながり、当事者を含む草の根の声と国内外の人権の実現の場を結びつけていくIMADRのお仕事にはいつも強い尊敬の念を抱いてきました。その蓄積を活かせるよう、チームの皆様、パートナー団体の皆様にもアドバイスをいただきながら頑張ってまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

●はたの あやこ