金 智子(きむじじゃ)
IMADR プログラム・コーディネーター
2016年4月から2017年3月までの1年間、反差別国際運動(IMADR)は「連合・愛のカンパ」の助成を受け、スリランカ北東部において、「マンクラムにおける内戦の影響を受けた単身女性の生計支援とエンパワメント」事業を実施した。
スリランカの内戦で最も影響を受けたのは女性たちであったため、反差別国際運動アジア委員会(IMADR-AC)は和平構築と生活再建のために戦闘地であった北東部で国内避難民に対して生計支援の活動を続けてきた。
その活動を継続するため、2016年度は「連合・愛のカンパ」の助成を受けて、スリランカ北部州、マンクラムのトゥヌッカイ(Thunukkai)村およびニーディプラム(Needipuram)村において、国内避難民になった内戦の影響を受けた子どもをもつ単身女性が生計手段を獲得し、性と生殖に関する権利や健康に対する知識を得ることができるように支援を行なった。
具体的には、1.生計支援プログラム、2. 単身女性のエンパワメントプログラムを150人の単身女性を対象に実施した。
1.生計支援プログラム
生計支援プログラムは、養鶏、有機飼料の使い方、会計管理、市場での売買のスキル獲得から成り、支援対象者は国内避難民キャンプからこの地域に移住してきた女性たちであった。彼女たちは最初、きちんとした収入がなかったが、この生計支援によって次のような成果を得ることができた。
2.単身女性のエンパワメント
夫や家族・親族を亡くし、経済的に最も困難な状況下にある女性たちが生計支援によって自立するだけでなく、内戦による心理的トラウマを抱えながらも生きる力を取り戻し、性と生殖に関する権利や健康に関する知識を得ることができるよう、女性と子どものための健康プログラムを実施した。同時に、生計支援と健康プログラムでエンパワメントされた女性たちが継続的に活動できるよう、古くからあるYuga Shakthiという農村女性ネットワークと交流する機会も提供した。
女性と子どもの健康と衛生に関するワークショップに参加した25世帯の女性たちは地元に戻り、学んだことを周囲の5人に教えることで支援対象にならなかった100人以上の女性も知識を共有することができた。このプログラムによって女性たちに次のような成果を得ることができた。
女性たちはこの事業によりたくさんの成果を得ることができた。そのため現地では事業の継続を望む声が上がったことから、今年度は対象地区に東部を加え、また受益者も国内避難民となった単身家族の扶養者である女性だけでなく、戦闘で負傷して障害をもつようになった女性を含み、「連合・愛のカンパ」プロジェクトを継続する。