ECRIヘイトスピーチに関する一般政策勧告の日本語訳完成!

IMADRはヨーロッパ評議会(CE)の人種主義と不寛容に反対する欧州委員会(ECRI)が2015年12月に出したヘイトスピーチ政策に関する勧告とその解説を日本語に訳しました。この勧告は、ヘイトスピーチが個人、特定の集団および社会全体にもたらす有害な影響に焦点を当て、何がヘイトスピーチを構成しているのか、それと闘うためにはどのような措置をとることができるのかについて具体的に示しています。解説の冒頭には:

本勧告が採択されたのは、加盟国、欧州評議会およびその他の機関の間で、多様性のあるヨーロッパ社会におけるヘイトスピーチの使用について、また被害を受けやすい立場に置かれた集団の構成員の自尊心を損ない、社会の団結にひびを入れ、暴力行為、脅迫、敵意の表出または差別を他者にそそのかす上でヘイトスピーチが果たす役割について、懸念が高まりつつあった時期のことである。このような懸念は、上述した理由のいずれかまたは複数を理由として向けられた敵意の表出のために、個人、機関、記念物、財産が現実の暴力的襲撃の標的にされた多くの事件によってますます深まった。したがって、とくにマイノリティ集団に向けられる否定的な態度の発展を回避するために、ヘイトスピーチに対しては迅速な対応がとられなければならない。このような否定的態度の発展は、マイノリティ集団の自尊心の喪失につながり、主流社会への統合を危うくする、と述べられている。

多数の移民や難民が暮らすヨーロッパで今起きていることは、CEがこの政策勧告を急いだことを裏付けています。勧告は、ヘイトスピーチの原因や規模、意識啓発や対抗言論、被害者支援、自主規制、メディアとインターネット、行政法・民事・刑法上の責任へと多岐にわたります。この勧告はECRIがCE加盟国に向けて作成したものですが、日本においてもヘイトスピーチと闘ううえで示唆に富む内容が詰まっています。

日本語版全文はIMADRのウェブサイトからダウンロードできます。なお、この翻訳版はECRIの承認を得てIMADRが日本語版として出しました。