女性差別撤廃委員会日本審査で委員は日本政府に何を問うたか

マイノリティ女性に関する委員からの質問(アイヌ、部落、在日コリアン、沖縄関連)

            委員から日本政府への指摘・質問

【2016年2月16日 午前】

ブルーン委員

市民社会から挙げられた日本における外国軍基地による性暴力に関するいくつかの問題が、国内行動計画に取りあげられていないことを懸念している。

 

ゾー委員

第4次(男女共同参画基本)計画が、移住女性、マイノリティ女性、そして先住民族の女性、障害のある女性が直面している不平等について、焦点を絞り、かつ期限を定めた対策によって取り組むことになっているのか。

 

ヌワンクォ委員

日本は、単に各セクターに積極的差別是正措置をとるよう促す以上のことをすべきだ。日本は、女性が周縁化されず、社会的に疎外された集団や民族的マイノリティなども、その生活において実質的な平等を実感できるよう、例えば、ジェンダー割当制度の導入や、遵守しない政党には罰則を科すというように、もっと具体的で、拘束力のある措置をとるべきだ。特にマイノリティや不利な立場にある集団に属する女性など、すべての女性が男性との実質的平等を享受することを促進する行動志向型の取り組みや特別措置をとるつもりがあるか。

 

グべデマ委員

とくにコリアンなどマイノリティ集団の女性などに対する、差別や憎しみを助長する言葉による暴力、性差別的スピーチおよびヘイトスピーチに関して懸念している。このような発言は公人や政治家によって行われることもあり、前回の総括所見でも指摘されたのに、ヘイトスピーチを防止し、制裁する法律はいまだ存在していないようだ。人種に基づく差別撤廃のための法案が2015年5月に国会に提出されたというが、審議は今どういう状況にあるか。この機会にヘイトスピーチに対して取り組む予定はあるのか。加えて、この種の不処罰をなくすため、公人による差別的な行為に対して懲戒も含め、どのような制裁措置がとられているか。質問リストでも性差別的発言に関する情報について質問したが、一つの事例以外の情報は提供されなかった。また、少女、障害者、高齢者、移民、外国、先住民族、LGBTIやマイノリティの女性を標的にした暴力の問題は現在でもいまだ深刻であると理解しているが、女性に対する暴力の問題に関しても聞きたい。

 

【午後】

ヌワンクォ委員

(女性の参画について)2009年の総括所見の中で、委員会は日本に、政治的・公的機関への女性の参画が、人口の多様性を全面的に反映するよう確保することを求めている。さらに、移住女性やマイノリティ女性を含む女性の参画に関するデータおよび情報を次回報告の際に提供するように求めたが、日本の報告にはこれら女性の政治参加のレベルに関するデータや情報が一切ない。公的活動における彼女たちの政治参加に関するデータの提供を求める。別の情報源によると、政府の障害者に関する政策委員会28名のうち、女性は2名だけ(7.1%)、アイヌ総合政策室による会議にはアイヌ女性の代表が参加しておらず、沖縄の人びと、特に女性は彼女たちに影響する決定から排除されている。在日コリアンはどんなに長く日本に居住していようと排除されている。日本は障害のある女性たちの問題が体系的に取りあげられるのを保障するために、政府の委員会に彼女たちの数を増やす計画はあるか。第二に、日本は政治的・公的機関への女性の参画が人口の多様性を全面的に反映することをどのように保障するか。小選挙区制では最も多く票を獲得した候補が当選する。マイノリティ集団の女性にとって立候補自体が困難で、また、投じられた票が実際の国会の議席に反映されない。マイノリティ集団の代表が十分に代表されるような、比例代表制を含むより包摂的な選挙制度改革を検討しているか。

 

ジャハーン委員

(教育に関して)国およびマイノリティのコミュニティのある地方レベルで、教育の機会におけるジェンダー格差が依然として残っている。マイノリティ女性および少女、民族的マイノリティに属する女性と少女、および移住女性と障害女性に関する大事な点なのに、報告はこれについて完全に沈黙している。別の情報源によると、マイノリティ・コミュニティの女性たち、特に高齢女性の識字率が非常に低い。明らかに焦点を絞った対策とプログラムが必要だ。さらに、データの不足によってこれらの集団に属する少女と女性の教育レベルの状況を私たちが正確に認識することが難しくなっている。性別、民族、所在地、社会経済的地位、および障害女性を含むマイノリティ女性に分類されたデータを、定期的かつ体系的に収集する措置を日本は検討したのか知りたい。次の報告ではこれについて十分取り組まれることを期待する。また、特にアイヌ、沖縄、部落そして在日コリアンなど民族的マイノリティ集団に属する少女と女性の教育強化のため、より貧しい女性への奨学金や助成金の提供など具体的な措置について詳しく述べてほしい。

 

ハイダー委員

(雇用について)教育分野にプラスして日本の雇用分野におけるマイノリティ女性に関する持続的な複合差別について強調したい。先住民族のアイヌ、部落、在日コリアン、沖縄およびその他のマイノリティといった女性たちと、さらに労働市場における障害女性、移住女性労働者、家事労働者、そして貧困下のシングルマザーの地位に関しては、別の情報源から、重大な賃金格差に加え、失業率や不安定な仕事の性質の懸念があることを委員会は聞いている。日本は包括的な差別禁止法を制定する意思はあるか。これは午前中の1条と2条に関する質問として挙げられたが、直接的な回答を聞けなかった。包括的な差別禁止法の文脈において、教育と雇用、すべての分野で複合差別に取り組んで欲しい。また、家事労働者に関するILO条約189号を批准する意思はあるか。雇用分野について調査する意思はあるか。日本には素晴らしい市民社会と沢山の団体があるので、これらと協力してジェンダー統計のための調査を日本は協力して行なうことができ、特定された差別を救済するための政策や実行についての情報を得ることがでる。最後に大事なこととして、雇用分野における不均衡に取り組む暫定的特別措置を採用する計画はあるか。なぜなら部落女性の格差を埋めるためにそのような暫定的特別措置を日本が過去に行なったことがあると認識している。しかし目的を達成しないまま2002年にこの措置を終了し、それ以降いくつかの後退があった。

 

ピメンテル委員

日本は先住民族であるアイヌ、部落、在日コリアンなどのマイノリティ女性に対して、保険・医療サービスに関する情報を提供してください。

 

ハイダー委員

(フォローアップ質問)複合差別に取り組む包括的差別禁止法制定の意思について最も重要な質問に対する回答がなかったが、これは鍵である。法的枠組みがなければ政策は適切かつ一貫して実施できないからだ。また、すでに政策が実際に存在するという日本の回答に対しては、別の情報源が具体的に述べるところではそれは現場では機能していないということだ。私の要請は調査し統計を取り、政策のどこが機能しどこがしていないのか、していないのならなぜなのかを記録することだ。それは日本が不備な点に取り組むのを助ける道具となるはずだ。また、調査や統計、目標までの進捗を計ることを可能にする必要な問題についての回答もなかった。最後に、部落女性に関してはいくつか回答があったが、先住民族女性と障害女性については何もなかった。これは雇用における差別に苦しむ最も重要な集団の一つだ。

 

ジャハーン委員

(フォローアップ質問)民族的マイノリティや移住者、障害のある女性や少女を含むマイノリティ女性の教育の向上を目的とする措置に関して、代表団にもっと詳しく聞きたい。一般的な政策が彼女らにも適用されると聞いたが、彼女たちの状況は特別なものなのでよりターゲットを絞った政策介入が必要だ。また、特に経済的支援に関して、日本語教育を必要とする女性たちに関してより詳しい回答がほしい。そのような教育は低額で利用可能か。朝鮮学校への補助金は再導入されているか。また、教育機関でのセクシャル・ハラスメントや、在日コリアンを含むマイノリティ・コミュニティの少女と若い女性に対するいじめが深刻に懸念されている。日本政府がこの点にどのように取り組んでいるのか回答を聞きたい。

 

ゾー委員

(フォローアップ質問)日本が、政治的・公的機関への女性の参画が、人口の多様性を全面的に反映することをどのように確保しているのかというヌワンクォ委員の質問に回答していない。一般的状況ではなく、特定の具体的な措置が必要だ。

 

ポメランチ委員

(社会保障の措置に関して)日本の報告には、例えば高齢女性や複合差別に苦しむマイノリティ女性らの困難な状況ついての言及が全くない。

 

ガブール委員

マイノリティ女性についてすでにこれまで何度か取りあげられ、私たちにとっても重要な問題だが、特に女性が世帯主の家庭、高齢女性、マイノリティおよび先住民族女性など女性の貧困に関して質問したい。世帯主の女性および高齢女性に焦点をあててみると、女性の平均寿命は87歳、数字としては良いが、特に注意が必要ある。マイノリティ集団や先住民族といった異なる集団の女性に関する統計が不足している。

そのような統計を取らないという可能性について私は理解できない。特に日本にとってもそのような統計はアイヌ女性、部落女性、在日コリアン女性といった女性たちのエンパワメントに取り組むためのプログラムや人びとのために現在も将来も大変役に立つだろう。

 

英語テープ起こし・翻訳:IMADR(小松泰介、波多野綾子)、監訳:岡田仁子

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