沖縄女性に平和と安全を CEDAW日本報告審査に参加して

糸数 慶子(いとかずけいこ)

参議院議員

 

沖縄の女性たちは、性差別だけでなく、米軍基地から派生する様々な問題に苦しめられている。とりわけ、米兵による性暴力は、沖縄の女性たちにとって深刻な問題である。1995年に起きた少女暴行事件を契機に、沖縄の基地と暴力の問題がクローズアップされたが、状況はあまり改善されていない。その背景には、日米地位協定や、日本の刑事司法制度の不備がある。例えば、加害者と被害者の間に交渉をゆだねているため、被害者が適切な補償を受けることが難しいことが挙げられる。また、米軍基地内に加害者が滞在している間は、日本側の捜査・逮捕に制限がかけられてしまうことなど、被害女性たちは、適切な救済を受けることが出来ないばかりか、事件解決の道筋すら閉ざされている。

 

こうした沖縄の女性たちの苦しみを伝え、早急かつ適切な解決を訴えるため、2月16日に行なわれた女性差別撤廃委員会第7、8次政府報告審査を傍聴した。前日には、委員がNGOから意見を聴取した。その際、私は米軍による性暴力の防止・処罰のための適切な措置を講じ、被害者が救済される支援の必要性を強く主張した。審査では、女性差別解消に消極的な日本政府に対して、委員から厳しい質問が相次いだ。

 

フィンランド出身のブルーン委員は、「2015年に作成された国連安保理決議1325号履行に関する国内行動計画に、米軍による性暴力についての記述がないことを懸念する声が市民から挙がっている」と指摘した。これに対し日本政府は、「米軍の性暴力について記述がないのは、日本に駐留している米国との関係は、日米の安保条約のもとにおいて、すでに対応する枠組みがあるからだ」と回答した。同決議では、紛争下及び紛争後の性的暴力からの女性の保護を要請している。性暴力に苦しむだけでなく、不平等な協定と日本の法制度によって救済されない人たちが多くいるにもかかわらず、条約で対応できるとする政府の態度は、沖縄の女性や少女たちの人権をないがしろにする無責任なものである。

 

また、ガーナ出身のグベデマ委員は日本政府に対し、部落、アイヌ、在日、沖縄などマイノリティー女性を標的としたヘイトスピーチを根絶するための法整備の状況説明を求めた。これに対し法務省は、今年3月末までを目途にヘイトスピーチに関する実態調査を行なうことや、前回通常国会において、人種差別撤廃施策推進法案が議員立法で参議院に提出されたことを挙げた。しかし、私は法案の発議者の1人であるが、この法案に関する進展は何もなく、棚上げ状態である。これまでヘイトスピーチ問題が、国会やメディアで度々取り上げられながら、国として策を講じていないことを鑑みても、政府及び国会の人権政策に対する意識の低さが伺える。

 

安倍政権は、「女性の輝く社会」や「女性の活躍」を謳いながら、女性の差別撤廃には非常に消極的である。これまで基地と女性の問題など、委員会からの勧告を用いて国会での質問等、様々な活動を行なってきた。今回審査を傍聴して、日本のジェンダー及び人権政策が、国際的な視点から見ても、不十分かつ改善されていないことを改めて痛感した。会期末の3月4日には、委員会から日本政府に対し勧告が出される。報告審査での政府答弁を考えると、勧告内容も厳しいものが出されると予想している。今後も、沖縄における基地と女性の問題の解決と、女性差別撤廃に力を尽くしていきたい。

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