MRAPの取り組み

ベルナデット・エティエ

人種主義に反対し諸民族の友好をめざす運動(MRAP)共同代表

 

「人種主義に反対し諸民族の友好をめざす運動」(MRAP)は人権確立のために1949年にフランスで設立された組織です。運動はそれ以前、第二次世界大戦中から民主主義運動とともに続けてきました。ナチズムが台頭する以前から、反レイシズムということで、その運動がずっと続けられてきました。そして戦争が終わって、ようやく合法的に私たちの運動を登録して新しく出発をしました。これを申し上げるのは、ここに集まっておられる皆様が同じように、長く人権運動をIMADRでされておられるからです。

 

今年4月18日、IMADRがやっていることを知ってもらうために、私たちはフランスでシンポジウムを開催しました(次頁参照)。IMADRとMRAPがこんな活動をしているんだということを、フランスの人びとに知らせることに成功しました。IMADRがどのようにできたのか、何のために出来たのか、誰が作ったのか、そういうことをフランスの聴衆に知らせることができました。部落解放運動がこのIMADRをつくったということを理解してもらえたと思います。

 

IMADR創立時にフランスのカトリーヌ・ガドゥが事務局次長として参加しています。カトリーヌは私と同じ組織で働いています。そのカトリーヌがこのシンポジウムの席で、IMADRを作った精神である「水平社宣言」について、フランスの聴衆に説明しました。またニマルカ理事長は、IMADRがジュネーブを通しながら、国際人権をどのように実現させようとしているのか、ということについて報告をしてくれました。

 

私は移住者、移住に関する報告をしました。MRAPは、レイシズムに反対すること、人民の間での友好、その二つのテーマを掲げた運動体です。そのなかで、社会の弱いセクターというのは、皆様も同意されると思いますが、やはり移住者です。とりわけ、記録されず正式なビザを持たないでその国にきた移住者、どこの国に行っても歓迎されない移住者です。

 

今皆様に申し上げたいのは、私たちの方法、道、あり方を変えなくてはいけないということです。これは私たちの後世代、あるいは私たちの未来、未来の世代のためでもあります。

 

人類の歴史が始まる前、アフリカ大陸とヨーロッパ大陸は一つでした。しかし今は異なる大陸として存在しています。そしてこのアフリカ大陸から、あるいは中東から、毎日何千人、何万人の人びとが、自分たちの生存のため、あるいは紛争から逃れるために、ヨーロッパに入ってこようとしています。それは彼(女)たちがどこにいても地球上で住む権利があるからです。

 

こうしてヨーロッパ大陸に入ってこようとしている人たちを阻もうとする人たちがいます。しかしながら、この人たちは地球上で住む権利があります。誰もそれを阻むことはできないはずです。地中海をはさんで、こうした人びとの生存をかけた闘いは行われているわけです。この人たちが、どこでも住む権利を実現させるような社会をつくるということ、これは私たち共通の責任です。国連の責任であって、国際社会の責任であって、日本の責任であって、EUの責任です。この共通の責任を、簡単に実現することはできないけれども、共に協力しながら、この共通の責任を全うさせていきましょう。