2017.06.1

国連特別報告者 日本における表現の自由に関して懸念を表明

UN-Special-Rapporteur-on-the-right-to-freedom-of-opinion-and-expression-David-Kaye

国連表現の自由の特別報告者であるデビッド・ケイ氏は、2016年4月に行った日本公式訪問の報告書をこのたび国連人権理事会に提出しました。報告書には、反差別国際運動が関わっている人種差別禁止とヘイトスピーチ、そして沖縄における意見表明や報道の自由に対する規制に関する懸念と勧告が示されています。さらには、メディアの独立性、情報へのアクセス、歴史教科書記述への介入に関する深い懸念も示されています。

報告の中で、特別報告者は、2016年のヘイトスピーチ解消法の施行を尊重しつつ、法律には処罰規定はなく、教育と啓発に止まっているために、差別の根本はそのままになっていると指摘しています。そのうえで、ヘイトスピーチをなくすために最初になすべきことは、ヘイトスピーチの原因である人種差別を禁止する法律の制定であると説き、人種差別撤廃委員会および女性差別撤廃委員会が2014年および2016年の日本審査において提示している差別禁止法の制定を促す勧告について言及しています。また、表現の自由が広く保障されてこそ、差別煽動の発言に対する自由なカウンタースピーチも保障されると強調しています。

さらに、沖縄における基地建設に対する市民の平和的な抗議活動に対する過度の実力行使と、 山城博治さんをはじめとする抗議活動をする人びとの逮捕・拘束に関して強い懸念を示し、政府に対して意見表明の自由を保障するよう求めています。また、沖縄の地元紙の基地関連の報道に対する当局の規制に関しても懸念を示し、市民の事実を知る権利を妨害していると述べています。

デビッド・ケイ特別報告者が国連人権理事会に提出した報告書(英文)はここをクリックしてください。反差別国際運動は、6月6日から23日まで開催される人権理事会第35会期で沖縄の表現の自由に関して口頭声明を発表する予定です。また、会期中の6月16日にはデビッド・ケイ氏を招いてサイトイベントを開催する予定です。

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