2018.03.26

国連人権理事会37会期報告(2018年3月)

日本と包括的差別禁止法、スリランカの和解とアカウンタビリティ、国連条約機関の強化、アジア太平洋のマイノリティと部落・ダリットについて活動しました

反差別国際運動(IMADR)は2月26日から3月23日にわたって開催された国連人権理事会37会期において、以下の活動を通して国際社会への働きかけを行いました。これらの活動は皆様からの寄付と会費によって支えられています。ぜひ寄付または会員としてのご支援をご検討ください。

 口頭声明の発表

  • 「フォローアップ手続きおよび委員選出による国連条約機関の強化」(3月8日)

要約: 現在進められている国連条約機関の強化プロセスにおいて、フォローアップ手続きは勧告の実施のために重要であり、締約国の協力に加え、各条約機関がフォローアップ手続きを統一させる必要があることを強調しました。また、条約機関委員の質、独立性、多様性を担保するためには候補者の擁立と選出において政府、市民社会、OHCHRなどの各ステークホルダー間の協力することが重要であることを強調し、市民社会によるこれらの取り組みを支持するようOHCHRおよび各国に呼びかけました。声明(英文)はこちら

  • 「アジア太平洋地域のマイノリティ、ダリットと部落民」(3月14日)

要約:フェルナンド・ドゥ・ヴァレンヌ特別報告者の在任中の優先分野の一つである地域人権機関との協力強化について、アジア太平洋機関には地域人権機関が存在しないことを指摘しました。また、特別報告者がダリットや部落民などの世系差別の問題についてのコミットメントを歓迎すると共に、特別報告者が優先テーマとする「ヘイトスピーチ」や「教育への権利」においてダリットや部落民の状況を考慮するよう呼びかけました。声明(英文)はこちら

  • 「人権擁護者と人種差別」(3月19日)

要約:IMADRはガイドブックの作成をはじめ、国連人種差別撤廃委員会(CERD)と市民社会の協力の促進に努めてきたことを紹介しました。同時に、世界中で人種差別と闘う人権擁護者が困難な状況に置かれていることに懸念を表明しました。移民やマイノリティ、先住民族の権利に取り組む人権擁護者は攻撃や嫌がらせ、報復にあう一方、多くの国において人権擁護者が安全に活動する環境を保障できていないことを指摘しました。人種差別問題に取り組む人権擁護者が政府および非国家主体からの抑圧から守られるよう人権理事会が各国に対し要求することを求めました。声明(英文)はこちら

  • UPR日本審査報告書採択」 (3月19日)

要約:日本政府が包括的差別禁止法の採択に関するUPR勧告を支持しなかったことを憂慮しました。

また、独立した国内人権機関の設置、個人通報制度の受け入れ、「すべての移住労働者とその家族の権利の保護に関する国際条約」の批准といった勧告を日本政府が受け入れたことを歓迎する一方前回や前々回でも同様の勧告を受けいれたのにもかかわらず政府は実施していないことを指摘しました。さらに、在日コリアンや琉球・沖縄の人びとに特化した勧告を政府が受け入れなかったことに懸念を表明しました。最後に、日本政府に対し留意した勧告を受け入れるよう要請すると共に、政府がUPR勧告実施のための具体的な国内行動計画を市民社会と協力して作成することを求めました。日本語の声明全文はこちら

  • UPRスリランカ審査報告書採択」(3月19日)

要約:失踪者委員会の委員が2月末に任命されたことを歓迎し、委員会の効果的な運営および独立性を担保するようスリランカ政府に求めました。3月初めに起きたイスラム教徒コミュニティに対する暴動について懸念を表明し、これまでIMADRが求めてきた宗教過激派に対する断固たる措置が取られなかったことを憂慮しました。その上で、イスラム教徒コミュニティの保護、加害者の訴追と処罰を求めました。また、移行期の正義に関する人権理事会決議30/1実施のためのタイムラインとベンチマーク作成についてのUPR勧告を政府が受け入れなかったことを憂慮し、スリランカにおける平和、和解、人権、正義を実現するためには被害者ベースのアプローチと包括的な政策決定が必要であることを強調しました。声明(英文)はこちら

  • 「スリランカにおける移行期の正義、不処罰、マイノリティの権利」(3月21日)

要約:スリランカにおける和解、アカウンタビリティ、人権に対する人権高等弁務官のコミットメントに感謝する一方、人権理事会の注視なくしてはスリランカの状況は後退すると警鐘を鳴らしました。人権理事会決議30/1の採択から2年経っても失踪者委員会以外の移行期の正義のメカニズムが設置されていないことを懸念しました。また、最近のイスラム教徒への攻撃は過去の人権侵害に対する不処罰に起因していることを指摘し、調査訴追を進めるようスリランカ政府に求めました。最後に、スリランカ政府が期限を明確にして移行期の正義実現のために制度改革や憲法改正などを実施するよう求めました。さらに、特別手続き担当者によるモニタリング・チームを設置すると共にスリランカにおける事務所の拡大、スリランカ政府への技術支援を提供するようOHCHRに求めました。声明(英文)はこちら

サイドイベントの開催・協賛

3月5日にOHCHR主催の「スリランカの移行期の正義‐強制失踪の被害者に正義は実現されるのか?」と題したサイドイベントを協賛しました。チラシはこちら

3月14日に「移住の巡回と若者」と題したサイドイベントをイタリアの国際NGOであるVISおよびその他のNGOと共催しました。詳しい報告は近日中に掲載します。チラシはこちら

 

 

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