2016.03.8

速報:国連女性差別撤廃委員会が日本審査をうけて総括所見を採択。マイノリティ女性に関する勧告多数あり。

国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)が 日本審査をうけて総括所見を採択しました。

日本政府が今後取り組むべき54項目の勧告がだされています。    マイノリティ女性に関する勧告も多数含まれています。

マイノリティ女性として、日本から部落・アイヌ・在日コリアンの女性が
2016年2月16日にジュネーブで行われた
CEDAW(女性差別撤廃委員会)に参加しました。
その働きかけにより、教育・雇用・暴力などの各分野に具体的勧告が入り、
さらに、2年後に政府がレポートを提出しなければならない
フォローアップ勧告になった項目もあります。

 

以下はIMADRジュネーブ事務所スタッフが関連部分を暫定的に抄訳したものです。
*総括所見全体の正式な翻訳ではありませんので、引用等はお控えください。
(数字部分はパラグラフ番号)

差別的な法および法的保護の不足

懸念:12 (e) 頻繁に嫌がらせや汚名を着せること、暴力の対象となる様ざまなマイノリティ集団に属する女性に対する複合差別をカバーする包括的な差別禁止法がない。

勧告:13 (c) 締約国の義務の核として一般的勧告28にのっとり、様々なマイノリティ集団に属する女性に対する複合差別/交差的な差別を禁止する包括的な差別禁止法を制定し、彼女らを嫌がらせや暴力から保護すること。

一時的な特別措置

懸念:18 (中略)民族およびその他のマイノリティ女性を含む女性の公的および民間機関での意思決定の地位、また特に国会をはじめとする政治のセクターにおける女性の代表の少なさに取り組む割当制度を含む法定の一時的な特別措置がないことに委員会は懸念する。

勧告:19 特に民族およびその他のマイノリティ女性や先住民族女性、障害女性の条約におけるすべての領域の権利を強化をはじめ、実質的な男女平等を実現を推進するための一時的な特別措置を条約4条(1)と一般的勧告25に従って、締約国が割当制度を含む一時的な特別措置を検討するよう求めた前回の勧告を委員会は繰り返す。

ステレオタイプと有害な慣行

懸念:20 (d) アイヌ、部落、在日コリアンおよび移住女性といった民族およびその他のマイノリティ女性に対する性差別主義的スピーチが継続している。

勧告:21 (d) アイヌ、部落、在日コリアンおよび移住女性といった民族およびその他のマイノリティ女性に対する攻撃を含む民族優位性や嫌悪の宣伝や性差別主義的スピーチを禁止し処罰する法を制定すること。

(e) 独立専門機関を介し、アイヌ、部落、在日コリアンおよび移住女性への差別的なジェンダーのステレオタイプや偏見を根絶する取り組みの効果のモニターと評価を定期的に行うこと。
*フォローアップ勧告 

女性に対する暴力

懸念:22 (c) ドメスティック・バイオレンスを含む、暴力の被害者である移住女性、民族およびその他のマイノリティ女性、障害女性が当局に通報することを躊躇するという情報を懸念する。

公的および政治生活における参加

懸念:30 (d) アイヌ、部落、在日コリアンといった民族およびその他のマイノリティ女性や障害女性の意思決定の地位における参画の低さ。

勧告:31 (c) 一時的な特別措置を含む、アイヌ、部落、在日コリアンといった民族およびその他のマイノリティ女性や障害女性が意思決定の地位に就くことの促進に特化した措置をとること。

教育

懸念:32 (e) 特にアイヌと部落の民族コミュニティの高齢女性をはじめとする民族およびその他のマイノリティのコミュニティでの識字率の低さの報告。

(f) 特に在日コリアン女性と少女を標的とした学校におけるいじめや人種主義的感情の表現に対する取り組みの情報の不足と、障害および移住女性の教育における状況の不足

勧告:33 (d) アイヌ、部落、在日コリアンといった民族およびその他のマイノリティ女性や移住女性および障害女性と少女の教育へのアクセスの障害をすべて取り除き、次回の政府報告において奨学金を含む彼女らの教育へのアクセスについて情報を提供すること

(e) 特に在日コリアン女性および少女を対象とした、教育における人種主義的感情の表現やいじめを含む女性と少女に対するすべての形態の暴力を防止、処罰および根絶する措置を強化すること。

雇用

懸念:34 (e) 雇用分野における先住民族女性、マイノリティおよびその他の女性(部落、コリアン、沖縄)、障害女性および移住労働者の女性に対する複合的な形態の差別の継続。

勧告:35 (e) 特に先住民族女性、マイノリティ女性、障害女性および移住労働者の女性に関し、雇用分野において調査を行い、ジェンダー統計を提供すること。

不利益な立場にある女性

懸念:46 委員会はアイヌや部落および在日コリアン女性といった先住民族および民族マイノリティ、障害女性、LBT女性、移住女性といった女性たちが引き続いて複合的および交差的な差別を経験しているという報告について委員会は懸念する。委員会は特にこれらの女性が健康や教育および雇用におけるアクセスが継続して制限されていることに懸念する。

勧告: 47 健康、教育、雇用、公的生活への参加へのアクセスや、健康サービスや教育サービスまたは職場での経験に影響する、アイヌや部落および在日コリアン女性といった先住民族および民族マイノリティの女性、障害女性、LBT女性、移住女性が経験する複合的および交差的な形態の差別の根絶を目的とした努力を積極的に行うよう委員会は締約国に求める。

 

日本政府への総括所見(英語)はこちらからダウンロードできます。
(アイヌ、部落、在日コリアン女性に関する部分をハイライトしています。)

女性差別撤廃員会による日本審査―手前が委員、奥が日本政府代表

2月16日にジュネーブにある国連欧州本部で行われた女性差別撤廃委員会による日本審査。手前が委員で奥が日本政府代表団。

 

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